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主力であるイベントスペース運営を発展させ、関連領域への新規参入を目指し関連会社を設立。その実務運営を任せていた人物が、業界企業と複数の不透明な契約を締結。その後、その人物は失踪。関連会社の簿外債務の存在が明らかになり、当社の経営を揺るがす事態に発展。代表自身が事態の把握及び情報収集に努め、締結企業と契約解除などの話し合いを持ったが、一方的な契約内容で、事態の収拾が困難であったため、民事再生手続開始申立を申請するに至った。一人の人物への権限集中と、それを管理する人間が実質的には不在だったことが、今回の事態を招いた。
業種 | サービス業 |
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従業員数 | 22名 |
設立・創業 | 設立:平成10年 |
事業分野 | その他(イベントスペースの運営、等) |
事業概要 | イベントスペースの運営、各種イベントの企画・製作等、プレイガイドの運営を手掛ける。 |
社長の年齢 | 30歳代 |
創業時の属性 (職業) |
会社勤務(会社役員) |
実務運営の全てを任せていた関連会社の役員が、業界企業と複数の不透明な契約を締結。その後、その人物は失踪。関連会社の簿外債務の存在が明らかになり、関連会社へ資金拠出していた当社の経営を揺るがす事態に発展した。
老舗イベントスペースの前運営会社がずさんな経営を行っていたことから、会計事務所として同社と取引があった現代表が、その名を残すべく、営業権を買収して新法人として設立しスタート。会計事務所他、複数の会社を運営していた現代表を軸とした新体制により対外信用も高まり、関連領域の事業も視野に入れて活動。取引先などを対象に転換社債を発行する等、新しい資金の調達手法で、数年後には複数のイベントスペースを新たに開設。年商も伸びて、平成13年には自治体よりベンチャー支援企業の認定を受ける。また、事業領域拡大のため新たに関連会社を設立。年商も更なる伸長を見せた。
新たに設立した関連会社において、当社の役員であったA氏に実務運営を任せていたところ、業界企業と複数の契約を締結。A氏が独自の判断で報告なく展開していたもので、契約内容は非常に不透明で当社にとってデメリットのある内容であった。その後、A氏が突然の失踪。簿外債務の存在が明るみになり、同社へ資金援助をしていた当社の経営をも揺るがす事態となった。
A氏失踪後、当社の代表が事態の把握及び情報収集に努めた。締結企業と契約解除などの話し合いや要請を行ったが、一方的な契約内容で、事態を収拾することが困難となった。このため、平成15年に民事再生手続開始申立を申請するに至った。
管理体制の不備
代表者は会計事務所他、複数企業を経営しており、当社の運営・管理するのは実質的にはA氏となり、代表者の目が行き届かない状況にあった。
権限を一人の人間に集中させすぎた。
失踪したA氏を信頼していた部分もあるが、代表者が業界全般の風習などを把握していないなど、業界経験不足の面もあり、営業活動を含めてA氏の自由に運営させていた。そのため、権限がA氏に集中することとなった。
イベントスペースの運営を行う中で、複合するビジネスとして関連領域事業に参入を図ったが、新たな事業は、イベントスペース運営とは全く別の専門性を有する部分があった。A氏はイベントスペースの運営に関しては経験があり信頼できる人物であったが、新規事業における経験不足を把握できていなかった。
特に社会的及び経済的、政治的他の背景は影響なし。
まずは、本業で独自性のある展開、また経営資源を集中するべきであった。その中で新規事業について学び、知識・ノウハウをつけて参入すれば、今回の事態には陥らなかったと考える。新規事業の参入などは、時期を見て、あせらずに展開していくことが大事である。また、人事のバランスが重要である。よほど信頼できる人物であっても、権限を一人の人間に集中させることは管理面などでマイナスとなる。
民事再生法の申請後、スポンサーなどをつけず単独で再建に努めている。関連会社は整理して、元々堅調であった本業に現在は特化している。一連のリストラ、また新規出店を抑えている経緯があり売上ベースとしては停滞しているが、合理化の推進で収益性は回復しており、安定した利益を確保出来る体質を築いている。再生債務も着実に償還しており、老舗の名を守りつつ、引き続き業界の一端を担っている。