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海外企業取引先が特許について訴訟問題を抱えているが、早期に有利に解決すること、特許に関しては取引先が責任を持つことを条件に取引を開始したが、一向に解決せず、おまけに、特許裁判で、装置開発にマンパワーと開発費を投入できなくなり、取引当時は装置性能が優れていたので販売実績をあげることができたが、徐々に競合他社に優位性を侵食され、販売実績が出せなくなってしまい、契約を解消した。
業種 | サービス業 |
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従業員数 | 21名 |
設立・創業 | 設立:平成11年12月/創業:平成11年12月 |
事業分野 | バイオ |
事業概要 | 当社が扱う技術・事業領域は、バイオとナノテクノロジーを融合したナノバイオテクノロジーと呼ばれる分野であり、自社で独自に開発した技術である「DNA等の生体分子の可視力・計測、生体分子間力の計測、DNAナノ構造体形成」を用いて、生体分子の計測・解析や機械・解析装置の研究開発・設計制作・販売等を手掛けている。 |
社長の年齢 | 50歳代 |
創業時の属性 (職業) |
大学・研究所等教職員 |
当社が製品取扱いの契約をしていた米国のZ社が他社(米国企業)との間で特許問題を抱え訴訟が続いており、製品を販売していた当社もそれに伴って販売に支障が出るなど影響を受けた。
大学を卒業後、大手光学機器メーカーで技術研究に携わり、その後、通商産業省工学技術院の産業技術融合領域研究所にてグループリーダーを務めた。その研究成果をもとに旧工業技術院第一号ベンチャーとして、平成11年に当社を設立した。当初は、ユーザーからサンプルを扱って解析するという負荷の小さい受託測定を主体としていたが、やがて国内外の製品仕入・販売を併せて行うようになった。設立4年目から、自社による装置制作の研究を開始。平成18年より自社製品の販売を開始し、現在に至っている。
サンプルを提供されて解析する受託測定を主要業務としていたが、やがて国内外の製品の仕入・販売を併せて行うようになり、特に米国Z社の製品等を主に扱うようになった。同社とは平成14年に販売契約を締結。しかし、同社は他社(米国企業)との間で特許問題を抱えており、訴訟を続けていた。同社に時系列的に問い合せてきたが、問題はすぐ片が付くという回答が続いていた。その間、製品の性能アップは全くなく、競合他社が性能・価格面で追い上げてきた。その製品は当初の勢いがなくなり、売れなくなり販売にも支障が出る事態となった。
平成15年より自社製品の開発を進め、商品化に目処がついた平成18年にZ社との取引を打ち切り、契約を解消することとした。その年の後半より新たに自社製品及び国内大手光学機器メーカーの製品販売を開始した。平成18年はZ社との取引打ち切りにより、売上が約3億円程度まで後退したが、平成20年については、既に昨年の売上を上回っており、年商は6億円超まで伸長する見通しである。
海外メーカーとの取り引きであった為、相手国の特許論争が国内と異なり、かつ、論争同士が特許問題以外の人間関係での中傷合戦に発展したことで、性能アップの装置開発に着手できなかった。特許論争は当初から承知していたが、想像以上にマンパワー・費用がかかることが見抜けなかった。
情報収集や相手先の信用を確認することが十分ではなく、訴訟がもうすぐ終わるという相手の言い分を素直に信用してしまったことから早い段階での対応が遅れてしまい、結果として販売への影響となって表れてしまった。
米国等、海外は日本と違って特許に関する訴訟問題が頻繁に起こりやすく、契約前に特許の問題をクリアーしているかは当然の事だが、日本はまだそうした訴訟対策に対する考えが甘く、訴訟リスクに対しては軽く考えがちである。
大手光学機器メーカーとの契約、食品環境検査事業の立ち上げ等によって、取引解消による販売低下を回避したが、Z社との関係はもう少し早く清算すべきであった。グローバル化が進むなか、海外との取引で生じる問題や風土の違いを理解することが必要であると痛感した。また、ベンチャーは自社技術のオンリーワン製品を持つことが大事であることを悟った。
Z社の製品販売は、自社製品が確立できるまでの繋ぎの製品と捉え、4年前から自社製品開発を進めてきたこともあって、現在の好調に繋がってきている。