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独立系保守管理会社へのエレベーター事故の逆風での経営失敗の実例です。経営不振に悩む経営者の方は、会社の倒産、破産に強い弁護士にご相談下さい。

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43 サービス業の経営の失敗(1):独立系保守管理会社への逆風

会社の倒産、破産に強い弁護士の鈴木陽介です。

ここでは、独立系保守管理会社へのエレベーター事故の逆風の実例をご説明します。経済産業省の公表資料「ベンチャー企業の経営危機データベース」に基づいており、弁護士の鈴木が適宜修正編集等しています。

なお以下が会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧です。ご活用いただければ幸いです。
・ 会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧


会社経営の失敗の概要


 独立系の保守管理会社へのエレベーター事故の逆風

メーカー系の部品を調達するためには、メーカー純正品を発注するしかないが、競合先でもあるメーカー側からは価格・納期など厳しい条件となり、部品調達が障害となることも多い。また、昨今のエレベータートラブルは独立系企業にとっては更に逆風となる要素となっている。

 企業プロフィール

所在地 大阪府
業種 サービス業
従業員数 10名
設立・創業 設立:平成11年3月/創業:平成11年3月
事業分野 その他
事業概要 エレベーター・エスカレーター・立体駐車場等の保守管理会社。独立系で、地道な営業で逐次管理物件を増やし、現在はエレベーター中心に1,500台を保守管理。
社長の年齢 50歳代
創業時の属性
(職業)
会社勤務(中途退社)


会社経営の失敗の詳細


 結論

エレベーターの保守管理はメーカー系の独占市場のため、独立系には様々な障害が多い。特に部品仕入れはメーカー系列企業からの調達が主体で、メーカーの意向に左右され、値段・納期ともに顧客ニーズに応えられないことが多い。

 設立から成功まで

平成11年設立され、平成13年に斯業経験がある現経営者が入社。当初は技術系の人員が不足し伸び悩んだが、現経営者の技術及び営業両面でのスキルを活かし、事業も伸長していった。業界的にメーカー系が独占状態で、独立系は厳しい環境下にあるが、地道な努力を重ね、積極的な営業と技術力を活かし、メーカー系市場に食い込み、ここ5年程で保守管理台数を5倍に増加させている。

 課題・ヒヤリとした経験 

メーカー系の部品を調達するためには、メーカー純正品を発注するしかないが、メーカー側からすれば独立系は同業他社で、取引上価格・納期等において妥協する必要がない。従って、独立系に対しての取引スタンスは厳しいものとなり、部品調達が障害となることも多い。さらに昨今のエレベーター事故は独立系企業にとっては更に逆風となる要素となっている。

 対処と結果

元々取り巻く環境が独立系にとっては逆風のため、部品調達は独自ルートを開拓した。顧客開拓もきめ細かなサービスを提供し、紹介客中心に実績を重ねていった。技術者の教育、営業力の強化など人材教育を徹底し、市場の逆風を凌ぎ実績を上げることに専念した。結果、保守管理台数は増え、紹介客もコンスタントに獲得していった。ビル及びマンション等をトータルにアドバイスできる体制を目指し、企業内容の充実が図っている。むしろ逆風の市場だからこそ、課題を克服する目的意識が醸成され、各社員のモチベーションも保持している。

 原因

(1) 特性

独立系企業には閉鎖的な業界環境
当社の企業単体としてのトラブルというよりは、元々の閉鎖的な市場環境が原因。メーカー系の独占市場となっており、当社のような独立系企業はどうしても商取引上不利になりやすく、それゆえに独立系企業が育たず、さらなる独占を生むという悪循環に陥っている。

(2) 要因

業界内のトラブル多発
昨今、エレベーター業界での事故が多発し、業界全体が逆風下にあり、独立系にはますます厳しい環境下にある。

 経営判断

現経営者が就任するまでは、人脈も限定され、部品調達ルートの確保が課題であったが、同氏の業界におけるネットワークを活かして調達先を確保し、今では安定調達が可能となった。調達ルートの確保が現在の事業基盤を支えており、経営判断に大きな誤りはない。

 背景

エレベーターは定期的なメンテナンスが必要だが、通常はメーカー自身あるいは系列メンテナンス会社が行うケースが殆どで、従来から独立系メンテナンス会社にとっては厳しい環境である。更に近年エレベーター事故が相次ぎ、社会問題化している。

 得られた教訓

仕入・納入ルートを確保する重要性が高く、これを人脈を活用し確保したことが現在の基盤形成につながっている。今後も様々な方面に仕入・納入ルートを拡げ、取引における障壁を回避していく方針である。また、人材教育が重要で、これを怠るとトラブルを抱え込む可能性も避けられず、今後も人材育成に注力する方針である。

 後日談

課題は多いものの大きな失敗はなく、その都度経営課題を解決し、実績を積んでいる。ただ、人材育成は時間やコストが掛かり、経営陣の求心力も必要である。今後も大過なき運営を継続するため、部品調達・人材育成等において経営課題を明確にし、建物のトータルアドバイザーとしての目標を目指す方針である。

会社の経営不振、破産、倒産に悩んでいる経営者の方は、お電話下さい。会社の再生、倒産、破産に強い弁護士が、適切な対応をアドバイス・サポートします。


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