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保有技術を企業に売り込む際、相手先企業は「すぐに製品に利用可能である」レベルと認識していたが、実際は応用には課題があり「原理的に実現可能である」レベルであったため、双方に認識のズレが生じ、その後の説明においてもその溝は埋まらなかった。事業化を開始したものの、企業の納得する製品化技術レベルになかなか達することができずに、製品化が長期間危ぶまれた。
所在地 | 東京都 |
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業種 | 製造業 |
従業員 | 9名 |
設立・創業 | 設立:平成14年10月/創業:平成14年10月 |
事業分野 | 半導体・電子機器 |
事業概要 | 平面で通信をする新技術である二次元通信技術の各デバイスの受託研究開発および製作・販売を行なっている。 |
社長の年齢 | 50歳代 |
創業時の属性 (職業) |
会社勤務(中途退社) |
保有技術を企業に売り込み、事業化を開始したが企業の納得する製品化技術レベルになかなか達することができずに、製品化が長期間危ぶまれた。
東京大学研究所において、ロボットの人工皮膚研究の過程で発明した「二次元通信技術」を事業化するため、研究室出身の3名をそれぞれ代表取締役・取締役として会社を設立した。平成17年には、事業化をもう一段階進めるため現代表を代表取締役とした。起業後現在まで、主な収入源は受託研究であった。個々の案件によって収益が左右され安定しない問題点があったが、現在製品化の話が進んでおり、この実現によって一定の基本収益が見込める。
保有技術を企業に売り込み、事業化を開始したが相手先企業の納得する製品化技術レベルになかなか達することができずに、製品化が長期間危ぶまれた。技術を企業に売り込む際の説明、あるいはその後の説明で、「原理的に実現可能である」レベルが相手の期待する「すぐに製品に利用可能である」レベルと誤認されてしまうこともあった。
連携先の企業と製品化計画を進めるなかで、具体的に必要な技術課題の洗い出しとその技術開発を最優先で進めると共に、連携先企業の視点から製品化計画の見直しをしてもらった。結果、技術開発を進めて、確実に製品化に結びつく技術に基づいて製品化を行っていき、計画から遅延したが製品化にこぎつけることができた。
原理的な実現可能性と製品化の差異を理解していなかった
大学・研究室の体質を引きずっていた。応用に課題があっても、原理的に将来できるだろう事柄を「実現可能」と認識して、製品化技術との差異を理解していなかった。
連携先企業との認識にズレ
技術を売り込んだ企業との間で製品として実現可能なものや時期について誤解が生じていた。企業側では、すぐに製品に利用できると考えていたが、実際は製品化には課題も多く、両者には認識のズレが生じていた。
大学・研究室の技術について、エンジニアリング的に応用可能なだけの実験データや知識が積み重ねられているかシビアに判断できなかったため、製品化に向けてどの程度課題が残っているのか把握できず、技術を売り込んだ企業との間にも認識のズレが生じることとなってしまった。
実際に技術を応用する場合に、支障となる法的規制があった。また、類似の技術がないために、技術そのものを理解してもらうことが難しかった。
保有技術レベルを相手にきちんと伝え、そのうえで製品化計画を立案すれば、このような障害を回避することは可能だった。「実現可能」という言葉の解釈が立場によって異なることを学んだ。それがどのレベルなのか、補足的に説明する配慮が必要である。一度失敗した後は、相手に過大な期待を抱かれないように、慎重に「実現可能」の言葉を使うようになった。
東大出身教授による発明とはいえ、産業界において企業で採用され、製品化までこぎつけるのは、かなりの時間と課題解決、労力が必要であると感じた。当社に限らず、様々な開発に携わっている大学と企業の研究開発の温度差はかなりあるのではないかと感じている。