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自社製品である天然除菌・抗菌剤のノロウイルスへの予防効果を明示することに、3つの公的機関が異なる見解を提示し、公的機関の証明があっても明確な表示に踏み切れなかった。医薬品事業の許認可取得は費用がかかるため出来ず、医療機関など販路拡大に弾みが付かなかった。
所在地 | 東京都 |
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業種 | 製造業 |
従業員 | 8名 |
設立・創業 | 設立:平成12年11月/創業:平成12年11月 |
事業分野 | 医療・ヘルスケア |
事業概要 | 環境を考えた高付加価値商品を開発。天然除菌・抗菌剤、無臭化剤を主力に販売。その他、健康関連商品や産直品も扱い、インターネット通販にも乗り出している。 |
社長の年齢 | 50歳代 |
創業時の属性 (職業) |
会社勤務(スピンオフ/スピンアウト) |
公営研究所の試験結果を商品へ表示する際、公的機関の見解が異なり、対応に苦慮した。また、医薬品事業の許認可取得は多額の費用を必要とするため困難であったが、医療機関向け販売が進まなかった。
証券会社定年を間近に控えて、色覚障害者を対象としたメガネ販売代理店の運営を持ちかけられ、起業した。しかし発足してほどなく販売先から価格低下を求められた。一方で仕入先は価格値下げに応じようとせず、一向に収益が確保できないビジネスであることから、急遽、注目されているエコロジー関連商品の開発販売に業態を転換。地道に新商品を開発して細々と展開してきた。平成18年冬のノロウイルスが流行するなか、予防に効能のある天然除菌・抗菌剤がヒットした。現在も引き合いが活発な状況にある。
売上増加に際して公営研究所で天然除菌・抗菌剤の試験を実施し、ノロウイルスへの予防効果が判明。これを商品に明示することに対して、3つの公的機関が異なる見解を示し、公的機関の証明があっても明確な表示になかなか踏み切れなかった。医療機関などへの販路拡大に考慮して医薬品事業の許認可を取得した方がスムーズに進むものの、審査には多額の費用が必要であったため、取得せずに販売に踏み切ったが、弾みが付かなかった。また、商品の研究・開発および特許申請への資金負担も重くのしかかった。
エコロジー関連商品の表示について公的機関の異なる見解から逸脱しない程度にとどめ、開発や特許の費用など資金調達は社長個人の退職金やストックオプションを活用した他、銀行から資金を調達した。製品開発負担で繰越欠損を抱えるが、平成18年冬のノロウイルス大流行で商品の引き合いが活発化し、業績向上に寄与している。
知名度が無いことから、開発費用を回収しきれない
研究開発型ベンチャーのため、知名度は無く、開発費への負担は重い。そのため、開発資金を回収しきれない状況にある。
公的機関の異なる見解と医薬品事業の許認可申請に遅れ
3つの公的機関が商品効能表示に対して異なる見解を提示した他、医薬品事業の許認可取得には多額の費用がかかり、その面でも困難があった。
各種許認可の申請から決定が下されるまで時間と費用がかかり、所轄によって見解も異なる。どの基準で対応すれば良いか分かり難いが、経営者として的確な判断を下さなければならず、業界知識・専門知識が不足していた。また、金融機関も中小企業の支援に前向きになりつつあるとはいえ、赤字の企業に融資するのは極めてまれで、黒字経営および一定水準の自己資金は必要であった。
いわゆる環境ブームという追い風の市場環境にある。猛威を振るったノロウィルスなどの発生で、その意識は年々高まっている。
メガネ販売代理業からの撤退にも同様のことが言えるが、仕入先と販売先、資金の流れをあらかじめ枠組みとして設定してから起業した方が、スムーズに経営を軌道にのせることができる。また、環境ブームや平成18年冬のノロウイルス大流行など時代背景・流行を味方に付けられたことは大きいが、採算割れとなるような引き合いは断るスタンスも重要である。
ノロウイルスの予防効果がある実験結果やその大流行など偶然が重なって今日に至っているが、所轄官庁ごとにある事象の見解相違や金融機関の中小企業への支援体制の不十分さが指摘された。外部からの資金調達に殆ど頼らずにやってこれたのは、退職金など自己資金に多少の余裕があった点が大きい。