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株価評価の類型(収益方式の収益還元方式、DCF方式、配当還元方式)を説明します。会社の引継ぎにお悩みの方は、中小企業のM&A・事業承継に強い弁護士にご相談下さい。

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2 収益方式による株価評価(1):収益方式の種類

M&A・事業承継に強い、弁護士の鈴木陽介です。

会社の引継ぎにお悩みの経営者の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。会社の引継ぎ、承継には、M&A、事業承継に強い弁護士を関与させるべきです。


弁護士鈴木が力を入れているM&A・事業承継のコラムです。

株価評価方式の収益方式(収益還元方式、DCF方式、配当還元方式)の概要をご説明します。内容は、中小企業庁の公表資料「経営承継法における非上場株式等評価ガイドライン(平成21年2月,中小企業庁)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜編集等しています。

 非上場株式の株価評価のコラム

1  株価評価:収益方式 純資産方式 比準方式
2  収益方式による株価評価(1):収益方式の種類
3  収益方式による株価評価(2):収益方式選択の留意事項
4  純資産方式による株価評価とその留意事項
5  比準方式による株価評価とその留意事項
6  国税庁方式による株価評価とその留意事項
7  併用方式による株価評価と評価方式に関する裁判例

 株価評価の判例紹介のコラム

1  純資産方式を採用した判例
2  配当還元価額を類似会社の配当性向で修正した判例
3  併用方式(純資産7、収益還元3)を採用した判例
4  ゴードンモデルを採用した判例
5  併用方式(配当還元6、純資産・収益還元各2)の判例
6  併用方式(配当還元方式7、時価純資産方式3)の判例
7  併用方式(配当還元方式5、純資産方式5)の判例
8  株式評価の方法に関する考え方を論じる判例
9  DCF方式、ベンチャー企業の株式評価の判例
10 新株発行の株価評価の判例
11 類似業種比準方式を併用した判例
12 新株発行の差止仮処分申立事件の株式評価の判例


収益方式による株式の評価

 収益方式:収益還元方式、DCF方式、配当還元方式

 収益方式とは、評価対象会社が将来獲得する利益又はフリー・キャッシュ・フロー(債権者や株主等の資金提供者に対する利払い、弁済又は配当に充てることのできるキャッシュ・フローのことをいいます。以下「FCF」といいます。)を一定の割引率で割り引いた現在価値に基づき評価する方式です。
 具体的には、利益に基づいて評価を行う収益還元方式とFCFに基づいて評価を行うディスカウンテッド・キャッシュ・フロー(以下「DCF」といいます。)方式があります。
 また、株主が評価対象会社から将来獲得することが期待される配当金に基づいて評価を行う配当還元方式も、収益方式の一つです。

 株主価値(株式の価額)の計算方法

 収益還元方式又はDCF方式においては、まず評価対象会社が将来獲得することが期待される利益又はFCFに基づき事業価値の算定を行います。
 次に、遊休不動産などの事業に関係のない不動産や投資有価証券などの非事業資産について、処分価値を見積もって加算を行います。
 その上で、株主以外の債権者等に帰属する借入金等の有利子負債や少数株主持分の控除を行い、株主価値を算定します。

 収益還元方式

1 利益の算定

 収益還元方式では、事業価値を算定するに当たり、一定の利益が永続すると仮定します。
 利益の算定に当たっては、評価対象会社の営業活動の結果である営業利益から税金負担を控除した税引後営業利益の過去3〜5事業年度の平均値を用いることが一般的とされています。
 なお、大阪地裁平成15年3月5日判決は、評価対象会社が投資計画も含めた利益計画を策定していないことから、利益計画における営業利益等を基に計算を行うFCFの算定が困難であることを理由として、過去の利益をベースとした収益還元方式を採用しています。

2 割引率の算定

 将来の利益を現在価値に割り戻す際に用いる割引率に関しては、一般的には、加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital:以下「WACC」といいます。)を使用します。WACCとは、資本調達に伴うコスト等に基づき算定された比率であり、ここでは立ち入りませんが、一定の計算式で算定します。

 DCF方式

1 FCF の算定

 DCF方式では、事業価値を算定するに当たり、評価対象会社が将来獲得することが期待されるFCFの現在価値を基にします。
 FCFについて、過去3〜5事業年度のFCFの平均値をベースに算定する場合と、将来の事業計画に基づき算定する場合があります。事業計画に基づきFCFを算定した裁判例としては、東京地裁平成20年3月14日決定があります。
 なお、事業計画に基づくFCFは、下記により算定を行うものとし、事業計画が対象としている期間(予測期間)後のFCFについては、最終事業年度のFCFが継続するものとします。
 営業利益−法人税額等相当額+減価償却費
     −資本的支出±運転資本の増減額

【留意事項】
 資本的支出には、設備投資予定額のほか、有形固定資産に対する支出のうち、その資産の使用可能期間を延長させたり、又はその資産の価値を増加させたりするために支出した金額を含みます。
 運転資本は、事業活動を行っていく上で必要な運転資金のことを指し、事業用以外の資産、有価証券及び有利子負債は除かれるので、一般的には、「売上債権+棚卸資産−仕入債務」にて計算されます。

2 割引率の算定

 収益還元方式における割引率の算定方法に同じです。

 配当還元方式

 配当還元方式は、株主が将来受け取ることが期待される配当金に基づいて株式の価額を評価する方式です。本評価方式においては、配当を行っていない場合や配当が極めて少額な場合など、会社における配当政策の影響を強く受ける点に留意する必要があります。
 具体的には、下記の計算式にて算定を行います。

1 基本式

 配当期待値÷株主資本コスト
 将来にかけての配当金の期待値を、株主資本コストを用いて現在価値に割り引くことにより算出します。
 配当金の期待値については、過去の実績値を採用します。株主資本コストについては、収益還元方式と同様です。

2 ゴードンモデル法

 配当期待値÷(株主資本コスト−配当成長率)
 基本式を発展させた方式であり、内部留保の再投資による会社の成長を折り込み、株主資本コストから配当成長率を控除した率を用いて配当期待値を割り引くことにより算定を行います。

3 国税庁方式

 国税庁の定めた財産評価基本通達に基づき評価します。


会社の引継ぎ、M&A、株式評価、株価評価に悩んでいる中小企業の経営者の方は、お電話下さい。事業承継・M&Aに強い弁護士が、解決方法などをアドバイスします。



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弁護士鈴木陽介書籍収益還元方式 DCF方式 配当還元方式

書籍:歯科医院の事業承継とM&A

学建書院,2016年