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事業承継の進め方、事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)をご説明します。事業承継にお悩みの方は、中小企業のM&A・事業承継に強い弁護士にご相談下さい。

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4 事業承継の進め方(2)

M&A・事業承継に強い、弁護士の鈴木陽介です。

会社の引継ぎにお悩みの経営者の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。会社の引継ぎ、承継には、M&A、事業承継に強い弁護士を関与させるべきです。


弁護士鈴木が力を入れているM&A・事業承継のコラムです。

事業承継の進め方、事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)をご説明します。内容は、中小企業庁の公表資料「事業承継ガイドライン(平成28年12月,中小企業庁)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜編集等しています。

 M&A・事業承継のコラム

1  事業承継の類型:親族内承継 従業員承継 M&A
2  事業承継の構成要素:人(経営) 資産 知的資産
3  事業承継の進め方(1):ステップ1・2
4  事業承継の進め方(2):ステップ3
5  事業承継の進め方(3):ステップ4・5
6  ポスト事業承継:成長と発展
7  事業承継を断念し廃業する場合
8  親族内承継のポイント
9  従業員承継のポイント
10 M&Aのポイント
11 事業承継での種類株式の活用
12 事業承継での信託の活用
13 事業承継での生命保険、持株会社の活用
14 個人事業主の事業承継


事業承継に向けた5つのステップ(再掲)


ステップ1

 事業承継に向けた準備の必要性の認識

ステップ2

 経営状況・経営課題等の把握(見える化)

ステップ3

 事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)

ステップ4

 事業承継計画策定・マッチング実施

ステップ5

 事業承継の実行・M&A等の実行

ステップ3:事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)


 親族内承継においては、相続税対策に重点が置かれすぎるあまり、事業とは無関係な資産の購入や、節税を目的とした持株会社の設立等により株価を意図的に低下させるなど、中小企業の事業継続・発展にそぐわない手法が用いられる場合があるとの指摘がなされています。

 しかし、事業承継は、経営者交代を機に飛躍的に事業を発展させる絶好の機会であること、経営者は、次世代にバトンを渡すまで、事業の維持・発展に努め続けなければならないこと等を考慮しますと、親族内に後継者がいる場合であっても、現経営者は経営改善に努め、より良い状態で後継者に事業を引き継ぐ姿勢を持つことが望まれます。

 近年の親族内承継の大幅な減少の背景には、事業の将来や経営の安定について、親族内の後継者候補が懐疑的になっていることなどが挙げられています。こうしたことからも承継前に経営改善を行い、後継者候補となる者が後を継ぎたくなるような経営状態まで引き上げておくことや、魅力作りが大切です。

 「磨き上げ」の対象は、業績改善や経費削減にとどまらず、商品やブランドイメージ、優良な顧客、金融機関や株主との良好な関係、優秀な人材、知的財産権や営業上のノウハウ、法令遵守体制などを含み、これらのいわゆる知的資産が「強み」となることも多いといえます。また、「磨き上げ」は、自ら実施することも可能ですが、対応が多岐にわたるため、効率的に進めるために士業等の専門家や金融機関等の助言を得ることも有益です。

 本業の競争力強化

 本業の競争力を強化するためには「強み」を作り、「弱み」を改善する取組が必要となります。例えば、自社のシェアの高い商品・サービス、ニッチ市場における商品・サービス等の拡充、技術力を活かした製品の高精度化・短納期化、人材育成や新規採用等を通じた人的資源の強化などがあげられます。また、取引先やマーケットに偏りが見られる場合は、これを是正し、事業リスクの分散を図ることも大切です。

 なお、本業の競争力を強化するためには、「中小企業等経営強化法」に基づく「経営力向上計画」を策定・実行することが有効です。「中小企業等経営強化法」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するための「経営力向上計画」を作成・申請し、国から認定を受けることで支援措置が受けられる制度です。

 経営体制の総点検

 事業承継後に後継者が円滑に事業運営を行うことができるよう、事業承継前に経営体制の総点検を行う必要があります。例えば、社内の風通しを良くし社員のやる気を向上させる、役職員の職制、職務権限を明確にすると同時に業務権限を段階的に委譲する、各種規定類、マニュアルを整備し、業務が効率良く流れる体制を作るなどガバナンス・内部統制の向上に取り組むことが大切です。

 また、事業に必要のない資産や滞留在庫の処分や、余剰負債の返済を行うなど経営資源のスリム化に取り組むことも重要です。

 経営強化に資する取組

 足下の財務状況をタイムリーかつ正確に把握することが適切な経営判断に繋がり(財務経営力の強化)、財務情報を経営者自らが利害関係者(金融機関、取引先等)に説明することで、信用力の獲得につながります(資金調達力の強化、取引拡大の可能性)。

 業績が悪化した中小企業における事業承継

 中小企業の財務状態を改善することは、円滑に事業承継を行うために極めて重要です。債務整理等の事業再生を行う必要がある中小企業において、これを放置しておいては、後継者を確保することもままならず、事業承継を行ったとしても、後継者が苦労するであろうことは明らかです。この意味で、事業承継のタイミングは事業再生を行う契機であり、事業承継を円滑に行うためにも、早期に事業再生に着手する必要があります。

 事業再生が必要な場合、まずは弁護士等の専門家に相談することが重要です。中小企業の個別の事情に応じた適切な再生スキームの選択や金融機関等との交渉方針について専門家の助言を得ることが有益です。

 また、個々の具体的な事情によって、金融機関の任意の協力がある場合や、これを望めない場合も当然あり得えます。財務状況にもよりますが、いわゆる再生プロセスを経るべき場合も少なくありません。このような場合に中小企業の採り得る事業再生の方法は、裁判所の関与の有無によって二つに大別されます。裁判所が関与するものを法的整理、関与しないものを私的整理と呼びます。

 それぞれ、代表的な方法は、以下のとおりです。

1 法的整理

〇 民事再生手続き
 民事再生法に基づき、裁判所や監督委員の監督のもと、債務者自身が主体的に手続きに関与し、企業の再建を図るものです。一般の中小企業に適した手続きです。
〇 会社更生手続き
 会社更生法に基づき、裁判所の監督のもと、裁判所が選任する更生管財人により企業の再建を図るものです。主に大企業に適した手続きです。

2 私的整理

 法的整理のような手続きのルールはないものの、一般的には、債務者の申出により債務の支払いを一旦停止し、交渉により債務免除等に関する債権者の同意を得ていくものです。事業譲渡や会社分割、第二会社方式等の手法が併せてとられることが多いといえます。主な手法は以下のとおりです。
〇 特定調停
 債務者が主体的に関与する中で、裁判所が債権者、債務者その他の利害関係人との債務の調整を仲介し、企業の再生を図るものです。小規模な中小企業にとって使いやすい手続きです。
〇 中小企業再生支援協議会
 各都道府県に設置された中小企業再生支援協議会が公正中立な第三者としての立場から、中小企業の事業面、財務面の詳細な調査分析を実施し、かつ当該企業が窮境に陥った原因の分析等を行ったうえで、債務者が同協議会の支援を受けて策定した再生計画案を金融機関に提示し、調整を行うものです。
〇 事業再生ADR
 企業の早期事業再生を支援するため、中立な立場の専門家が、金融機関等の債権者と債務者との間の調整を実施するものです。その際、双方の税負担を軽減し、債務者に対するつなぎ融資の円滑化等を図ります。

 いずれの方法をとる場合であっても、適切な債務整理手続きを選択し、円滑に手続きを実行するため、早めに弁護士等の専門家や金融機関などに相談することが不可欠です。


会社の引継ぎ、M&Aに臨む中小企業の経営者の方は、お電話下さい。今後のとるべき方向性や留意点などを事業承継・M&Aに強い弁護士がアドバイスします。



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弁護士鈴木陽介書籍経営改善

書籍:歯科医院の事業承継とM&A

学建書院,2016年