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事業承継(M&A)での生命保険、持株会社の活用を説明します。事業承継にお悩みの方は、中小企業のM&A・事業承継に強い弁護士にご相談下さい。

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13 事業承継での生命保険、持株会社の活用

M&A・事業承継に強い、弁護士の鈴木陽介です。

会社の引継ぎにお悩みの経営者の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。会社の引継ぎ、承継には、M&A、事業承継に強い弁護士を関与させるべきです。


弁護士鈴木が力を入れているM&A・事業承継のコラムです。

事業承継での生命保険の活用、事業承継での持株会社の設立をご説明します。内容は、中小企業庁の公表資料「事業承継ガイドライン(平成28年12月,中小企業庁)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜編集等しています。

 M&A・事業承継のコラム

1  事業承継の類型:親族内承継 従業員承継 M&A
2  事業承継の構成要素:人(経営) 資産 知的資産
3  事業承継の進め方(1):ステップ1・2
4  事業承継の進め方(2):ステップ3
5  事業承継の進め方(3):ステップ4・5
6  ポスト事業承継:成長と発展
7  事業承継を断念し廃業する場合
8  親族内承継のポイント
9  従業員承継のポイント
10 M&Aのポイント
11 事業承継での種類株式の活用
12 事業承継での信託の活用
13 事業承継での生命保険、持株会社の活用
14 個人事業主の事業承継


生命保険の活用

 事業承継における生命保険の活用

 事業承継に際しては納税負担や引退後の生活資金の確保等の課題に直面することとなります。近時、これらの課題への対応策として、生命保険の活用が注目されています。

 生命保険の活用方法は主に以下のとおりですが、円滑な事業承継のための他の手法と組み合わせることで、事業承継における課題への柔軟な対応が可能となります。他方で、契約者や被保険者、保険料の支払方法や保険金の受取方法の定め方によって得られる効果が異なってくるため、生命保険を活用する目的に応じた適切な保険契約を締結する必要があります。長期間の保険料の支払いを前提とする場合もあるため、早期に専門家等へ相談すべきです。

 資産の承継における生命保険金の活用

 先代経営者が死亡した場合に支払われる死亡保険金には、相続税の計算上一定の非課税枠があるため、これを相続税負担の軽減に活用することが考えられ、受け取った保険金を納税資金に充てることもできます。

 また、指定された死亡保険金受取人が受け取った死亡保険金は原則として遺産分割の対象とならず、遺留分算定基礎財産にも含まれないというメリットもあります。これにより、後継者は死亡保険金を確実に受け取ることができ、これを納税資金や株式・事業用資産の買取資金として活用することができます。

 このように生命保険は、納税負担や遺産分割、遺留分といった課題に対応するための手法として活用することができます。

 生命保険のその他の活用方法

 事業承継時に現経営者が直前する課題として、現経営者の引退後の生活資金の確保が挙げられます。例えば年金型の生命保険を活用することによって、かかる課題を一定程度解消することが考えられます。

 一方、会社においても、現経営者の死亡に伴い、死亡退職金の支払いや自社株買取資金等を準備する必要が生じます。このような事業承継に伴う資金需要についても、会社を死亡保険金の受取人とした生命保険を活用することによって対応することが可能です。

 さらに、後継者等の相続人にとっては、たとえ死亡した先代経営者が現預金等の流動資産を保有していたとしても、相続発生直後に現預金等を上記の資金需要に充てることは、遺産分割等との関係で困難である場合が多いといえます。この点、 死亡保険金は速やかに保険受取人に支払われるため、相続発生直後の資金需要に活用できるというメリットがあります。

持株会社の設立

 信頼できる専門家への相談の必要性

 近年、事業承継に際して持株会社を利用したスキームが用いられる事例が多くなってきています。

 このスキームは、後継者が持株会社を設立し、事業会社からの配当による返済を前提として金融機関から融資を受け、この資金によって現経営者から株式を買い取るといった手法です。この場合、持株会社が事業会社の株主となり、現経営者のもとには株式売却の対価として現金が残ることとなります。

 同スキームを活用すると、先代経営者が死亡した際には株式ではなく現金が相続されるため、遺産分割対策として、株式の分散を防止できるといったメリットがあると言われています。

 一方、現経営者が株式を持株会社に譲渡する際、譲渡所得税等の課税を受ける可能性があり、さらに、譲渡所得税等を差し引いた現金について後継者への相続時に相続税の課税を受けることになるため、持株会社スキームでは相続税の軽減効果は期待できないとの指摘があります。

 また、事業会社から持株会社への配当を金融機関への返済原資に充てることを前提としているため、事業会社の業績悪化等により分配可能額が必要な配当額を割り込んだ場合、返済が滞ってしまうリスクがあることにも留意すべきです。

 また近時は、必ずしも当事者の個別の状況に適さない持株会社スキームが利用された結果、後日資金繰りに問題が発生するといった事例が報告されています。当然、持株会社を活用した事業承継が一般的に問題であるということではありませんが、同スキームに内在するリスクに留意の上、弁護士・税理士等の専門家への相談等を通じて真に当事者にとって有益な手法を選択すべきです。


会社の引継ぎ、M&Aに臨む中小企業の経営者の方は、お電話下さい。今後のとるべき方向性や留意点などを事業承継・M&Aに強い弁護士がアドバイスします。なお歯科医師の方は歯科医院の事業承継とM&A歯科医院の居抜きのコラムもご覧下さい。



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弁護士鈴木陽介書籍持株会社

書籍:歯科医院の事業承継とM&A

学建書院,2016年