M&A・事業承継に強い、中小企業のための弁護士です。
会社の引継ぎにお悩みの経営者の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。会社の引継ぎ、承継には、M&A、事業承継に強い弁護士を関与させるべきです。
弁護士鈴木が力を入れているM&A・事業承継のコラムです。
信託の概要、信託の種類と事業承継における機能、信託の利用方法をご説明します。内容は、中小企業庁の公表資料「
事業承継ガイドライン(平成28年12月,中小企業庁)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜編集等しています。
M&A・事業承継のコラム
信託の概要
信託法の改正と事業承継
平成18年の信託法改正により、事業承継において信託を活用できる幅が大きく広がりました。信託は、信託契約の定め方によって自由な設計が可能であるところにその特徴があるため、事業承継に際しても、先代経営者や後継者の希望に沿った財産の移転が可能となりました。
事業承継に際して活用される信託の典型として、「遺言代用信託」があります。これは、先代経営者が死亡した場合の株式の承継について定めるもので、その名の通り、遺言の作成に代わる手法として注目されています。
なお、種類株式の「株主ごとの異なる取扱い」の他に、信託も、認知症等による経営者の判断能力低下への対応策として注目されています。
具体的には、先代経営者の意思が確かなうちに、自社株式等についての信託契約を締結し、その管理権限を受託者(後継者など)に移転しておくことによって、本人が認知症等になった場合の財産管理への影響を低減するものです。この場合、信託財産は契約に基づいて管理されるため、先代経営者の意思が尊重されることにも特徴があります。
信託の種類と事業承継における機能
民事信託と商事信託
信託は、その受託者を誰にするかによって、民事信託(家族信託)と商事信託の二つに大別できます。民事信託の場合は受託者について基本的に制限はありませんが、商事信託においては信託業法による厳格な規制を受ける信託会社(信託を業として行う者であり、内閣総理大臣の免許又は登録を受ける必要があります。)が受託者となります。
遺言代用(型)信託
遺言代用信託とは、経営者がその生前に、自社株式を対象に信託を設定し、信託契約において、自らを当初の受益者として、経営者死亡時に後継者が議決権行使の指図権と受益権を取得する旨を定めるものです。
これにより、@経営者が生前に後継者たる子による受益権の取得を定めることにより、後継者が確実に経営権を取得できる、A受託者による株主の管理を通じて、先代経営者が第三者に株式を処分してしまうリスクを防止することができる、B先代経営者の死亡と同時に後継者が受益者となることから、遺産分割等による経営の空白期間が生じない、といったメリットを享受できると指摘されています。
他益信託
他益信託とは、経営者が信託契約において後継者を受益者と定めつつ、議決権行使の指図権については経営者が保持する旨を定めるものです。
経営者は議決権行使の指図権を引き続き保持することにより経営の実権を握りつつ、後継者の地位を確立させることができ、また議決権行使の指図権の移転事由などについて、経営者の意向に応じた柔軟なスキーム構築が可能です。
後継ぎ遺贈型受益者連続信託
後継ぎ遺贈型受益者連続信託とは、経営者が自社株式を対象に信託を設定し、信託契約において、後継者を受益者と定めつつ、当該受益者たる後継者が死亡した場合には、その受益権が消滅し、次の後継者が新たに受益権を取得する旨を定めるものです。
これにより、先代経営者は後継者の次の後継者を定めておくことができ、柔軟な事業承継を実現することができます。
信託の利用方法
専門家への早期相談の重要性
民事信託・商事信託のいずれを採用するかによっても異なりますが、いずれにしても法務・税務両面からの具体的な検討が不可欠です。また、民法との関係や税務上の取扱いが明確でない部分も存在するため、早期に弁護士・税理士等の専門家や信託会社の窓口等に相談すべきです。
会社の引継ぎ、M&Aに臨む中小企業の経営者の方は、お電話下さい。今後のとるべき方向性や留意点などを事業承継・M&Aに強い弁護士がアドバイスします。