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UV塗料の会社の倒産の危機、経営失敗の実例です。経営不振に悩む経営者の方は、会社の倒産、破産に強い弁護士にご相談下さい。

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74 小売卸売業の経営の失敗(8):UV塗料の会社の倒産の危機

会社の倒産、破産に強い弁護士の鈴木陽介です。

ここでは、UV塗料の会社の経営失敗の実例をご説明します。経済産業省の公表資料「ベンチャー企業の経営危機データベース」に基づいており、弁護士の鈴木が適宜修正編集等しています。

なお以下が会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧です。ご活用いただければ幸いです。
・ 会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧


会社経営の失敗の概要


 UV塗料の会社が焦付債権の発生により倒産の危機に

UV塗料やUV照射機材自体が市場にあまり出回っていないため、営業力に乏しく、機材の販売を軌道に乗せるまでに時間を要し、固定費の増加を招いた。この間、過小資本から資金調達に苦しむなか、焦付債権が発生、資金繰りの悪化に追い討ちをかけた。

 企業プロフィール

所在地 神奈川県
業種 小売・卸売業
従業員数 3名
設立・創業 設立・平成15年10月/創業・平成14年4月
事業分野 UV塗料の販売業、UV照射機材販売
事業概要 「UV塗料」の販売と「UV照射機材」の販売を手掛けている。「UV照射機材」の納入先に、継続的にUV塗料を納品するというビジネスモデルを築いた。建築現場などでUV塗料を利用した艶出しなどは、好評を得ている。
社長の年齢 50歳代
創業時の属性
(職業)
会社勤務(中途退社)


会社経営の失敗の詳細


 結論

過少資本でスタートし金融機関からの資金調達が非常に厳しいなか、手持資金を確保するため、売上増加を図るべく営業スタッフ1名を採用したが、営業力に乏しく、かえって固定費の増加を招いた。加えて焦付債権が発生し、資金繰りを大きく圧迫した。3期目を迎えてから信用保証協会の保証枠を活用して、資金調達が可能となったが、弱小資本のために運転資金の工面に苦労した。

 設立から成功までの経緯

平成12年後半に友人らと自動車販売店向けのモバイルコンテンツの会社を立ち上げるが、友人らとの意見の食い違いに加え、ビジネスの継続性に疑問を持ったことから取締役を退任した。以前、証券会社に勤務していた時に知った、紫外線に当てると塗装が乾燥するUV塗料に将来性を感じ、UV塗料関連の会社に入社した。6ヶ月ほど経験を積み、平成14年4月に個人創業し、翌年法人化した。UV照射機材納品後もUV塗料を継続的に納品することが出来るビジネスモデルを作りあげた。

 トラブル・失敗・課題に至る経緯

UV塗料やUV照射機材自体が市場に出回っていないため、機材の設計から携わり、塗料を使う業者への案内、商品の利便性の説明、機材の商品化まで手掛ける必要があり、このため機材の販売を軌道に乗せるまでに時間を要した。資本金10万円という過少資本でスタートし、金融機関からの資金調達が非常に厳しいなか、手持資金確保のため売上増加を図るべく営業スタッフ1名を採用したが、営業力に乏しく、かえって固定費の増加を招いた。加えて焦付債権が発生し、資金繰りの悪化に追い討ちをかけた。設立から3期目を迎えて信用保証協会の保証枠を活用して、ようやく資金調達が可能となったが、弱小資本のため運転資金工面の苦労は続いた。

 対処と結果

自分で与信判断を行うため、代表者が直接、顧客に商品を販売することとした。基本的には遠隔地の顧客であっても訪問して、経営者の人柄や会社内の雰囲気を見てから販売することとした。そのような細かな与信判断を行うように改めた結果、以後は焦付債権の発生もなく、また顧客の成長を見守ることができるようになった。加えて、顧客との密着度が高まり商取引にもプラスに働いている。

 原因

(1) 特性

資金調達余力に欠け、商品供給の長期化、固定費の増加
過小資本に加え、業歴も浅く実績に乏しいことから、資金調達余力に欠けていた。照射機材の商品化が長期化したことや営業社員雇用による固定費の増加がさらなる資金不足に追い込んだ。

(2) 要因

与信判断ができず焦付債権が発生した
資金繰りを楽にするために売上増に向けた営業を重点的に進めたが、顧客を選別する余裕がなく、結果的に焦付が発生し増々資金繰りを圧迫した。

 経営判断の問題点

資金調達が可能であれば、もう少し営業や社内体制の強化まで手が回ったのではないかと思われるが、過小資本で会社を立ち上げており、従業員を雇用するまでの事業内容になっていなかった。また、資金繰りを改善するため、売上の増加を急ぐあまり、与信判断が甘くなり、結果的に焦付債権が発生することとなった。

 背景

設立当初はUV塗料のニーズ自体が非常に乏しく、知名度をアップするまでに時間を要した。また、当初は、法人の信用保証協会の保証制度などの拡充が進められていたが、設立から間もないこともあり利用できず、資金調達が厳しい状況にあった。

 得られた教訓

資金的にある程度の余裕や計画性を持って事業を運営してゆく重要性を認識することとなった。また、資金繰り改善を急ぐあまり、売上増加に注力したが、その結果焦付債権の発生を招いたこともあり、取引先の与信判断の重要性にも気がついた。その後は、取引先の人を見て判断する慎重なビジネスを進めており、これにより与信判断のみでなく顧客との密着度も高くなり、取引の円滑化に繋がっている。営業力強化の面でも、単純に人材を雇用するということではなく、如何に優秀な人材に育てていくかという、人材育成を重要視するようになった。

 後日談

結果的には倒産はしてないが、焦付債権の発生により倒産にいたった可能性もあり、今後も継続的なビジネスを展開するために顧客を見据えて、取引を進めていくこと、そして顧客と共に成長することが必要だと痛感している。今期平成20年期には新型のUV照射機材発売の寄与もあって売上高4000万円の計上を見込んでいる。

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