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事業急成長に伴う借入金利負担の圧縮を考えていたところ、弁護士の勧めで特定調停という手段をとる。金融機関がその情報を受けて預金を凍結。決済に支障が生じ資金繰りに行き詰まるが、事業見直しで危機を回避。その後、別の弁護士から民事再生法の適用を勧められ実行。金融機関から了解が得られず第1回申し立ては不受理となる。代表者自らが金融機関に説明し、ようやく同意が得られ第2回申し立てで受理された。
所在地 | 山口県 |
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業種 | 小売・卸売業 |
従業員 | 6名 |
設立・創業 | 設立:平成4年4月/創業:平成4年4月 |
事業分野 | その他(キャンピングカー販売、特殊車両の輸入販売・卸売) |
事業概要 | 各種キャンピングカー販売及び特殊車両の輸入販売・卸売を主体に販売先は代理店企業を経由しての販売となっており、常時20台内外のキャンピングカーを展示販売している。また、殆ど全ての国産・輸入車のキャンピングカーを取り扱っており、ユーザーのニーズに沿った商品を提供している。 |
社長の年齢 | 30歳代 |
創業時の属性 (職業) |
会社勤務(中途退社) |
主事業の閑散期対策として始めた別事業が急成長。一方で借入金が膨らみ、金利圧縮を考える。弁護士の勧めで特定調停という手段をとったが、そのことが金融機関に伝わり、預金凍結の措置を採られる。信用状(L/C)決済の開設ができず資金繰りに行き詰まるが、事業見直しで危機を回避する。その後、別の弁護士から民事再生法の適用を勧められ実行に移す。金融機関から了解が得られず第1回申し立ては不受理となる。代表者自らが金融機関に説明し、ようやく同意が得られ第2回申し立てで受理された。
平成4年キャンピング用品販売を目的に設立、山口県内に店舗を構えキャンピング用品専門店としてスタートした。同年H社の代理店となりキャンピングカー販売を開始。平成9年より全国23ヶ所の販売代理店を開拓するなど積極的な事業展開を行った。また、閑散期の対策として、平成12年より飲食FCに参画し飲食店経営に参入。次々と出店して11店舗となり17年期の売上高は約13億円と過去最高となった。
飲食店事業の利益率は良かったが、積極的な出店により借入金が膨らみ、融資の一本化による金利の圧縮を考えた。そこへ弁護士Aより特定調停の提案を受け、代表者も不勉強であったため、そこまでの状況ではないにも関わらず話が進んでしまった。そのことが金融機関に伝わり、預金が凍結され信用状(L/C)決済の開設ができず資金繰りに行き詰った。特定調停の取り下げを行ったが、金融機関の信頼を取り戻すことができなかった。キャンピングカー販売を縮小し飲食店経営主体に事業転換。飲食店事業は資金回転が良いため資金繰りの不安は解消する。
2005年12月支援企業よりスポンサー企業を紹介してもらい、スポンサー企業が別の弁護士Bを紹介。弁護士Bより民事再生開始手続の申立と、資産確保目的での飲食店閉鎖を提案される。それを受け超過債務としたが、金融機関からの了解が得られず、第1回の申立は受理されなかった。
第1回民事再生開始手続申立てが不調に終わったため別の弁護士Cに相談したところ、民事再生手続開始申立てを行う状況ではなかったことが発覚。事が進んでいるためこのままの状況では経営が破綻することから、代表者自らが金融機関に事情を説明し、ようやく同意が得られ、2回目の申立てで受理された。その後も支援企業やスポンサー企業の協力が得られキャンピングカー及びキャンピング用品販売に努め、金融機関からも再生に向けて協力が得られたため平成18年2月再生手続開始決定、同年9月再生計画認可決定確定となっている。
経営者の拡大志向と、経営に関する知識不足
経営者は常に前向きであったが、利益向上の焦りから冷静な分析ができなかった上に、経営に関する知識不足から特定調停の話に載ってしまい、結果信用不安を招いた。
外部からの経営提案を、そのまま受け入れてしてしまった
相手が社会的地位にあり、かつ法律の専門家であることに影響され、二度にわたって弁護士からの間違った経営提案を受け入れてしまい、それが被害の拡大を招いた。
弁護士の勧めで特定調停の話が進んだ時、本当に特定調停が必要なのか別途調べていれば、当社のような健全経営の会社には不適切であることがわかったはずである。さらに、信頼できる関係会社の人物に弁護士を紹介してもらったことで、これも民事再生手続開始申立てを行う状況では決してなかったのに同じ過ちを繰り返してしまった。相手が社会的地位や立場にあることを背景に信頼してしまい、自分で調べたり判断することをせずに相手に任せてしてしまった。
キャンピングカーを専門に扱う企業が周りになく経営や営業には有利な状況にあった。飲食店の経営も不採算店の見直しを早期に行い、リニューアルや改善を全社挙げて取り組んでいたが、全国的なチェーン店の台頭により競争激化となり業績に陰りが見え始めていた。
キャンピングカー販売の閑散期対策として始めた飲食店経営が予想以上に順調に伸びたために経営に狂いが生じ、不測事態に対する対処が遅れてしまった。代表者自ら情報収集の上で判断していれば、社会的地位のある人からの提案であっても、特定調停などの話にも応じることはなかっただろう。また、信頼できる内部の人材に相談できていれば、金利負担の軽減のためには何をしたら良いのかなど、利益向上のための対策を立て、倒産は回避できたと考える。
今までは、代表者だけの判断で行った事業がうまく当り右肩上がりの成長が続いたが、事業が成長期にあるときには性急に動かず状況を見守る必要もある。業績が安定し始めたときには、代表者一人の判断ではなく、役員など内部の人間で対応策を考え、全員が納得した上で経営改善に取り組んだほうが良い。そのためには信頼できる人物を育て、時には真剣に提言してくれる人材のいる組織作りをしていかなければならないと思う。
民事再生手続開始申立て後は支援企業の協力が引き続き得られているが、金融機関や取引先の信頼回復には至っていないため、業績回復に取り組み債務を少しでも早く返済していく。取り組まなければならない課題は多いが、改善すべき点が見えてきたため、一つ一つをクリアし企業体質の改善と強化に努めていく。キャンピングカー及びキャンプ用品の市場はまだまだ小さいものの、潜在的固定客は多く拡大する可能性はある。ありきたりではあるが迅速な対応とサービスに努め、ニーズに沿った商品提供に取り組むことで再生は可能であると思われる。