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親会社の倒産で連鎖倒産をした実例です。経営不振に悩む経営者の方は、会社の倒産、破産に強い弁護士にご相談下さい。

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70 小売卸売業の経営の失敗(4):親会社の倒産での連鎖倒産

会社の倒産、破産に強い弁護士の鈴木陽介です。

ここでは、親会社の倒産で連鎖倒産した実例をご説明します。経済産業省の公表資料「ベンチャー企業の経営危機データベース」に基づいており、弁護士の鈴木が適宜修正編集等しています。

なお以下が会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧です。ご活用いただければ幸いです。
・ 会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧


会社経営の失敗の概要


 依存していた親会社の倒産で連鎖倒産に

価格競争による収益力低下に加え、親会社の民事再生申立てにより体外信用が悪化。当社代表が親会社代表の連帯保証をしていたこともあって多額の負債を抱え自主再建を断念、民事再生申立てに至る。親会社の支援に依存していた経営に加え、創業社長がワンマン経営であったため、実際の経営状況を理解している人材がおらず、危機対応力に欠け、親会社に依存した経営から脱することができなったことに経営判断上の問題があった。

 企業プロフィール

所在地 北海道
業種 小売・卸売業
従業員数 10名
設立・創業 設立:平成8年10月/創業:平成8年10月
事業分野 衣料品販売
事業概要 上場企業の連結対象子会社で、同社が運営するディスカウントスーパーのインストアでの衣料販売を主力とした業態にある。当社が扱う商品は、幅広い年齢層に対応していることが特徴で、全国で約25店舗を展開している(実用衣料)。
社長の年齢 62歳
創業時の属性
(職業)
会社勤務


会社経営の失敗の詳細


 結論

同業他社との価格競争から収益が悪化、加えて親会社の民事再生申立てにより体外信用が悪化、当社代表が親会社代表の連帯保証をしていたこともあって多額の負債を抱え自主再建を断念、民事再生申立てに至る。その後、上場企業K社の連結対象子会社となり、現在は、同社が運営するディスカウントスーパーのインストアでの衣料販売を主力とした業態にある。

 設立から成功までの経緯

平成8年に衣料品製造販売を手掛けるT社の100%出資会社として、衣料品小売B社の東北以北の店舗譲渡を受けて設立。その後、上場企業K社の前社長との出会いから、同社が運営するディスカウントスーパーのインストアでの店舗を開始。店舗数を増やし、拡大を続けた。

 トラブル・失敗・課題に至る経緯

同業他社との競争激化により衣料品の価格破壊が進み、収益悪化を余儀なくされた。それに追い討ちをかけるように親会社であるT社が借入過多で経営存続の危機に陥り、平成14年に民事再生法を申請。当時の代表者は、T社代表(実兄)の個人保証をしていたことから多額の債務を抱えるに至った。また、親会社T社の民事再生法申請により、当社の対外信用も悪化し、単独での経営再建が難しい状況に陥った。

 対処と結果

経営再建のため出店先であるK社に支援を要請。しかし、現状のままでの再建が難しいと判断し、平成12年民事再生手続開始の申立てを申請。同年7月には創業者が責任を取る形で退任し、K社の出身者である現代表に交替した。民事再生法を申請した後、平成13年にそれまで8000万円あった資本金を全額減資すると同時に支援企業であるK社の出資で、資本金を3億円まで増資することで財務内容の改善に着手。その後、同社の連結対象子会社となったことで、K社グループの1社として、同社の管理指導のもとで稼動している。

 原因

(1) 特性

親会社への依存体質とワンマン経営
創業するにあたり親会社であったT社の支援に依存していた状況にあったことに加え、創業社長のワンマン経営であったため、実際の経営状況を理解している人材がおらず、危機に対応できるだけの能力がなかった。

(2) 要因

価格競争による収益低下と親会社の倒産
K社が運営するディスカウントスーパーのインストア内での店舗展開から売上を伸ばし、拡大路線にあったが、価格競争についていけなかったことによる収益力低下と親会社であるT社が民事再生法を申請したことが引き金となり、単独での運営存続が難しい状況に陥った。

 経営判断の問題点

創業社長は、民事再生法を申請する以前の親会社であったT社代表(実兄)の連帯保証人となっていたために、多額の保証債務を抱えるに至ったのみならず対外信用も失うことになり、資金調達および仕入面に影響を受けたことが問題であった。また、T社に依存した経営から脱することができなったことに経営判断上の問題があった。

 背景

地元地域において衣料品を多く取り扱う大型量販店が積極的に出店していた時期にあったため、価格競争に勝つことが難しい状況にあった。また、地元経済が長い不況から脱していなかったため、個人消費が伸び悩むなどの要因があった。

 得られた教訓

ディスカウントスーパーへの積極的な出店により売上規模を拡大していったが、価格競争の問題で採算性が悪化し、この面の課題に早い段階で対処する必要性があった。また、親会社であったT社の経営危機をいち早く察知し、単独での資金力を強化し、独自色を強めた経営路線に変更していくべきであった。また、価格競争には有力企業との関係強化や支援なども必要であり、在庫や資金管理をより見直していくことが重要な経営課題であった。しかし、現在の親会社となるK社との結び付きがあったことで、同社からの支援を得られたことにより、営業継続ができたことは不幸中の幸いであるといえる。

 後日談

民事再生法申請後は、K社の連結対象子会社となり、依然として同社が運営するディスカウントスーパーのインストア内での店舗展開が主力となっている。創業者は当社の代表者を退任した後、K社の社員として勤務していたが、現在は退職しており、創業者のカラーはなくなっている。現在の代表者は、大手百貨店の衣料品部門で長年にわたり斯業経験を積んできた人物である。その後、K社の子会社として対外信用は得て、順調に営業を継続してきた。しかし、K社は平成18年12月外資資本58%となり経営陣も刷新、関連会社の見直しを図り、平成19年9月21日K社取締役会で当社の株式を譲渡することを決議。譲渡先はS社で10月に譲渡。譲渡数は株式総数6,000株(全株式)。売却価格は170百万円である。

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書籍:歯科医院の事業承継とM&A

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