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前例のない事業で資金調達が難航した経営失敗の実例です。経営不振に悩む経営者の方は、会社の倒産、破産に強い弁護士にご相談下さい。

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3 製造業の経営の失敗(3):前例のない事業で資金調達が難航

会社の倒産、破産に強い弁護士の鈴木陽介です。

ここでは、前例のない事業で資金調達が難航した失敗の実例をご説明します。経済産業省の公表資料「ベンチャー企業の経営危機データベース」に基づいており、弁護士の鈴木が適宜修正編集等しています。

なお以下が会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧です。ご活用いただければ幸いです。
・ 会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧


会社経営の失敗の概要


 前例のない事業で初期投資の資金調達が難航

当社が扱う色つき(有色)廃ガラスびんのリサイクル事業については、全国においても実績が無かったため、金融機関や官公庁に対する事業内容の説明に時間と費用がかかり、なかなか金融機関から資金調達が出来なかった。そのため、大学などの研究機関との技術提携により計画資料の作成を行うともに、自治体や官公庁より認定や表彰を受けることで、認知度と信用を高めることができた。

 企業プロフィール

所在地 千葉県
業種 製造業
従業員数 27名
設立・創業 設立:平成10年3月/創業:平成10年9月
事業分野 環境・リサイクル
事業概要 一般廃棄物としてのガラスびんの再資源化、ペットボトルの圧縮梱包、プラスチック製容器包装の圧縮梱包、リサイクルガラス造粒砂全国ネットワーク事業を主要事業として展開している。
社長の年齢 40歳代
創業時の属性
(職業)
会社勤務(その他:会社経営者)


会社経営の失敗の詳細


 結論

当社が扱う色つき(有色)廃ガラスびんのリサイクル事業については、全国においても実績が無かったため、金融機関や官公庁に対する事業内容の説明に時間と費用がかかり、なかなか金融機関から資金調達が出来なかった。

 設立から成功までの経緯

色つきガラスびんは再利用の用途がなく、大量に埋立てられているという事を聞いて、「もったいない」と考え、その再資源化を構想。平成10年、ガラスびんの再資源化を目的に当社を設立した。平成11年には千葉県の中小企業創造法を取得。平成13年には国土交通省の新技術情報提供システムに材料として登録され、平成14年にはやはり国土交通省の地盤改良工事に採用され、実績を重ねてきた。同年、各新聞社等よりベンチャー賞を獲得。平成15年にはペットポトルの圧縮梱包を手掛け、16年にはプラスチック製容器包装の圧縮梱包を手掛けるなど、事業を拡大させた。平成18年には第二回エコプロダクツ大賞を受賞し、平成19年にはエコマーク商品認定を受けた。

 課題・ヒヤリとした経験

当社が扱う色つき廃ガラスびんのリサイクル事業については、全国においても実績が無かったため、金融機関や官公庁に対する事業内容の説明に時間と費用がかかった。なかなか金融機関から資金調達が出来なかったため、知人等より私募債発行にて資金調達を行った。50人未満、5億円以内で中小企業が独自に発行出来る「少人数制私募債」を平成11年に1口200万円で、知人及び親戚等に対し発行し7,000万円を調達し、事業展開を進めた。

 対処と結果

金融機関及び各官公庁等に対し、当社のガラスびん再資源化事業の説明を行うための資料を作成するため、千葉大学、東海大学、日本大学等の各大学研究所と技術提携を行い、認知度を高めていった。資金面については私募債の発行により資金調達。各大学の研究所等の協力もあり、平成11年に中小企業創造活動促進法の千葉県知事に認定され、公的機関の技術開発支援を受ける。平成14年には中小企業経営革新支援法の千葉県知事の認定を受ける。これらの千葉県知事の認定などによる評価から、金融機関より保証協会を通して資金調達が出来る様になったため、積極的に設備に投資を行えたことで、取扱量は年々増加し業績増収に至っている。

 原因

(1) 特性

全国的に前例がなかった
通常の廃棄物処理業務ではなく、ガラスびんに特化しているため、全国にてこの事業を行った事業者がなかった。路盤材などで有色ガラスを一部使用している例はあるものの、砂として製品化された製品はなかった。

(2) 要因

事業計画を理解してもらうことが困難であった
全国にてこの事業を行った実績がなく、金融機関を中心に事業プランの説明を各資料を基に理解してもらう事が難しかった。全国的に実績の無い事業プランをいかに説明し、融資を引き出すか、苦労した。

 経営判断

特に経営判断に誤りはないと考えている。全国的にも珍しい新規事業であったため、実績が無く、なかなか理解してもらえなかった面はあるものの、技術的に各大学及び民間研究所との提携などにより、公的機関から評価され、その後、金融機関からの資金調達も出来たことで、さらなる事業拡大を展開しており、業績も順調に推移することができている。

 背景

全国で年間約200万トン以上のガラス廃材が発生し、その内有効利用されているのは約3〜4割にすぎず、残りの約6〜7割は自治体がゴミとして埋立て処理をしている。特に有色ガラス瓶は、再利用方法がほとんどなく、リサイクルシステムを構築することが難しいのが現状となっている。

 得られた教訓

国や県等の各自治体がもっとリサイクル法に関して、熟知していれば、当社の事業プランも早期に理解してくれたのではと考える。事業プランについては自信を持っていたが、事業内容及び計画を知ってもらうために、各研究所等との提携し、指導を受けられたことで、県の指導及び補助金等の利用をさせてもらった。また、各官公庁やマスメディアにてベンチャー賞として表彰された経緯もあり、地域への説明も効果的であった。

 後日談 

各自治体や各新聞社等からの当社の事業に対する評価は高く、県内ベンチャー企業として知名度も高い。特に昨今は全国的なネットワーク事業を推進しており、コンサルティング的なサービス面も充実させていく。年々事業を拡大し業績も順調に推移。事業意欲は高く、社風も風通し良好である。

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