電話での相談のご予約・お問い合わせはTEL.03-5925-8437
平日:9時30分〜17時30分
認知度が低い商品であったため、当初は販売不振が続いたが、自社設備で製造する必要があったため、製造工場の建設を断行した。しかし、製造に関するノウハウが不足していたこともあって設備投資の資金計画にズレが発生。金融機関からの当初融資分だけでは資金が不足する状況に陥った。
業種 | 製造業 |
---|---|
従業員数 | 30名 |
設立・創業 | 設立:2000年9月/創業:2000年9月 |
事業分野 | 医療・ヘルスケア |
事業概要 | 医療・福祉機器販売会社として設立。続いて治験受託業務を開始し徐々に業容を拡大、その後、高水素濃度ウォーターの製造販売に着手し、メーカーへの転身を図った。商品名を自社ブランドに切替え更なる業容拡大を図っている。 |
社長の年齢 | 40歳代 |
創業時の属性 (職業) |
会社勤務 |
創業者である現代表は医療機器販売業に約13年勤務し経験を積み、永年の人脈をいかし医療・福祉機器の販売を目的に2000年に創業設立した。当初は、医療・福祉機器の販売業者として設立したが、設立間もない2001年に治験を希望していた製薬会社に病院を紹介したことがきっかけとなり治験受託業務を開始。徐々に業容を拡大させ2005年期には売上高を3億円台に乗せた。また、2005年暮れには東京のH社と業務提携し、高水素濃度ウォーターの製造販売を開始し新たな局面を迎えた。2007年に入り、自社ブランド品に切替え、テレビCMや各種宣伝媒体の活用により知名度の浸透を図っている。
販売当初は高水素濃度ウォーター水の世間における認知度が低く、営業訪問を行っても門前払いされることが多く、販売が上向くのに時間がかかった。こうしたなかで、メーカーへの転身を図るため製造工場の建設に入ったが、手探りで設計から施工までを行ったため、完成後に手直しが必要となる部分が多く、資金的にも当初予定投資額ではカバーできなかった。このため取引銀行に追加支援を要請したが、元々業容に比して過大投資であったことから簡単に承諾が得られず資金調達が困難となった。
アスリート専門誌への記事掲載、テレビCMなどの広告媒体活用、トップアスリート広告起用等により知名度の向上に力を注いだ。スポーツ分野への販売特化が実り、アスリートや各種プロクラブ層での認知度を高めることに成功した。
同時に、取引銀行に商品力の強さを徹底的に説明、経営革新の認可を得ていたことも奏効し、追加資金の調達に協力が得られた。これにより、無事、新工場は稼動するに至り、自社ブランド商品の量産体制が整った。
認知度の低さによる販売不振
高純度ウォーターはそれまでどこも殆ど取り扱っていなかったため、認知度が極めて低かった。商品性能には自信をもっていたが、販売基盤やコネクションがないままに販売を行ったため低調な販売状況が続くことになった。
製造業自体へのノウハウを持ち合わせていなかった
それまで医療・福祉器具販売と治験業務のみを手掛けており、多額の設備投資を行った実績もなく、製造業自体のノウハウを持ち合わせていなかった。多額の資金を投じ製造設備新設を行ったが、途中で設備自体に手直しが必要となり資金計画にズレを発生させることになった。
商品の良さを確認しただけでノウハウの不足する分野に資金や人材を投入してしまった。総じて、取り掛かりに慎重さが必要であったと言える。産官と連携をとるなどノウハウや資金力ある先と協調した取組みを行い、販売基盤を確保した上であれば、順調な滑り出しとなった可能性は高い。ただ、連携した先に主導権を握られるリスクを伴うことから、難しい経営判断であったと言える。
製造業自体に経験が不足していたにもかかわらず、設備投資を強行した。設備に不備もあり、予想外のコストアップを強いられたのは、外部製造委託が出来きないライセンス契約が要因と考えられる。
製造業に関するノウハウを持つ先や経営コンサルタントなどを活用し、入念な設備投資計画・資金計画を立てていれば資金的ズレの発生は防げた可能性が高い。
販売方法に関しても事前に基幹となる顧客を確保したうえでの展開であれば、資金繰りに心配することなく腰を据えた新規開拓が可能であったと考えられる。商品力を有すことは大前提となるが、いかに商品が優秀でも販売方法を間違えれば資金力・販売力に劣るベンチャー企業は勝ち目がない。どこに最初のターゲットを絞り、そこからどのように拡大させてゆくかを突き詰めてゆくことが肝要である。
多額の設備投資が必要であったうえ、H社にロイヤリティ的な手数料を支払わなければならなかったが、技術蓄積により2007年5月から自社ブランド商品に切替え、より高品質の高水素濃度ウォーターを開発、製造販売を開始している。当社は医療・福祉器具販売、治験事業を基盤として新業務を開始したため持ちこたえることができたが、基盤を持たない新規事業展開であれば途中で頓挫した可能性も否定できない。