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当初は、廃ペットボトル処理に関して、ボトルメーカー、飲料メーカー等の排出事業者が再処理事業に対し排出処理費として負担していたが、その後、原料調達市場が激変。有価での廃ペットボトル取得を余儀なくされる。産業廃棄物業者の扱う廃ペットボトルも仕入れることとなったため、洗浄等の前処理工程の増設が必要で、更に原料調達に大きな負担がかかり資金繰りに窮し、民事再生申請の事態となった。
所在地 | 神奈川県 |
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業種 | 製造業 |
従業員数 | 80名 |
設立・創業 | 設立:平成13年8月/創業:平成13年8月 |
事業分野 | 環境・エネルギー |
事業概要 | 廃ペットボトルを原料としたペットボトル用樹脂・化成品の製造・販売を手掛ける。特殊技術を活用したペットボトルのリサイクル技術を採用し、使用済ペットボトルをケミカルリサイクルといった手法でポリエステル樹脂に戻す事を可能とした。国内大手飲料メーカーを主力取引先として受注を伸ばしている。 |
社長の年齢 | 30歳代 |
創業時の属性 (職業) |
会社勤務(その他:会社役員) |
原料となる廃ペットボトル市場の激変から、原料の仕入れが再処理費用受領から有価での調達へ変化、また産廃業者からの廃ペットボトル調達も強いられたことも資金繰りを圧迫し、平成17年民事再生法を申請するに至った。
独自の研究開発により、使用済みペットボトルを化学分解(解重合)し、異種プラスチックや着色物等の異物を取り除き、さらに蒸留精製等の精製工程を経て、石油由来の原料から製造されたペットボトル用樹脂と同等の品質の樹脂を製造する、ケミカルリサイクル技術を開発した。この技術に関する特許は、国内外合わせて100件超に達している。この技術をもとに国庫補助金40億円超を得て総額150億円超の商業用化学プラントの建設に着手、2年余の建設期間を経て平成16年商業運転を開始した。
平成14年の商業用プラント建設着手時点においては、ボトルメーカーや飲料メーカー等の排出事業者が廃ペットボトルの再処理に対し、70円/sを排出処理費として負担していた。ところが、その後、国内再処理能力の拡大と中国が大量の廃ペットボトルの買い付けを開始したこと等により、プラント完成時には需要が供給を大きく上回り、有価での廃ペットボトル取得へと原料調達市場が激変した。加えて、プラントの商業運転開始時である平成16年度には、原料である廃ペットボトルは「日本容器包装リサイクル協会」を通じた入札による調達を計画していたが、市場環境の激変により落札量ゼロの結果となった。これにより、事業者が排出する産業廃棄物を調達せざるを得なくなった。産業廃棄物である廃ペットボトルは、消費者からのそれに比較し汚れがひどく、洗浄等の前処理工程の増設が必要となり、その追加設備に20億円超の追加費用が発生。工場の追加費用は資金調達の目途もついたが、原料市場の激変は当社の仕入れ環境を直撃し、業績回復のメドが立たず、平成17年の民事再生申請の事態となった。
追加費用については、増資、銀行借入等により資金調達の目途はつき、工場建設は滞りなく完成したが、原料については、廃ペットボトル市場の競争が更に激化、平成17年度も計画した「日本容器包装リサイクル協会」を通じた入札による調達は大幅な未達となり、産業廃棄物業者からの調達に多くを依存。このことから、原料調達に大きな負担がかかり資金繰りに窮したことで、平成17年の民事再生申請の事態となった。
技術志向に偏った組織体制
技術力の高さゆえ、技術志向により過ぎ、廃ペットボトルの市場環境を見通しなどを判断するだけの社内組織体制が備わっていなかった。
廃ペットボトル市場の変化
廃ペットボトルの調達市場が激変した。これにより原料の仕入単価が急騰し、資金繰りに窮する要因となった。
ペットボトルの需要は着実に増加しているにも拘らず、その廃ペットボトルの多くが中国へ流出したことから、国内の再処理業者が必要とする廃ペットボトル市場が縮小したことにより競争が激化、「再処理費用の受領」から「有価での調達」への変化を見通せなかった。
環境への意識がますます重要となってきていることから、当社事業への支援申出は多く、当社の技術の活用に関しても多くの事業者から提案を受けている。容器リサイクル法の廃ペットボトル集荷の中心である自治体においては、集荷した廃ペットボトルの中国への流失は環境の観点から急激に減少していること、新規ペットボトルの需要は増加していることから本年度より廃ペットボトル価格が下落してきている。一方、原油価格は上昇傾向にあり、リサイクル品の活用が企業イメージの向上に繋がることから、リサイクル品の価格は上昇傾向にある。
技術的な問題ではなく、廃ペットボトル市場の激変が原因であることから、事業化が早すぎたかと考えている。また、市場変化の見通しの重要性を認識した。
平成17年に民事再生申立を行ったが、平成18年に再生手続きを終結している。これは、対外的に高い技術力が認められ各方面から支援が受けられた事が要因である。自治体の援助を受けて原材料の確保は出来ており、かつ国内大手飲料メーカーと共同でペットボトルの循環再利用システムを構築。再生手続き終結後も各方面からの支援を受けている段階であり、損益分岐点に達するのは平成20年期以降となるが、今後は他の用途にて再利用を行っていくなど事業規模の拡大を目指していく。