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収入はA機構などからの受託開発および補助金を主軸とし、例年資金的にも支障はなかったが、A機構の補助金枠がなくなり、収入が減少。当時は小資本運営で、かつ研究・開発に要する費用の削減は難しく、損失を計上する形となり、資金的に厳しい状況に立たされた。
株主やベンチャー支援の公的ファンドからの資金調達により、その状況を乗り越えた。
所在地 | 大阪府 |
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業種 | 製造業 |
従業員 | 3名 |
設立・創業 | 設立:平成13年5月/創業:平成13年5月 |
事業分野 | 医療 |
事業概要 | 某大学助教授の研究技術の事業化を目的に設立した「大学発ベンチャー」。国際特許を持つ製造技術をベースにした商品を生産し、医療分野で事業を行っている。 |
社長の年齢 | 40歳代 |
創業時の属性 (職業) |
大学・研究所等教職員 |
研究・開発型ベンチャー企業。研究・開発は長期にわたるため、収入はA機構などからの単年毎の受託開発および補助金を主軸としている。毎年受託開発・補助金の支給に支障はなかったため、それを踏襲した資金計画を立てたが、A機構の補助金枠が減少、収入が減少。当時は小資本運営で、かつ研究・開発に要する費用の削減は難しく、損失を計上する形となり、資金的に厳しい状況に立たされた。
株主やベンチャー支援の公的ファンドからの資金調達により、その状況を乗り越えた。
ベンチャー企業の経営管理に携わっていたB氏が、当時大学助教授であったC氏の研究成果を事業化する目的で、C氏を勧誘して会社を設立。
当初から実際の事業化には3〜5年を必要とする見通しを立てており、A機構などからの受託開発および補助金を得て基礎技術の応用・事業化の研究を行っていた。2005年から民間企業からの受注による商品生産を開始し、一部は事業化へ繋がっているが、現状では研究・開発が主体となっており、2008年期も補助金による収入が大半となっている。
A機構などからの受託開発は単年毎の予算で補助金支給が決定される形であり、2007年期もこれまでと同様にA機構の受託開発を行う見通しであったが、予算編成により削減されることになった。これが2006年秋頃判明したため、同補助を見込んで支出を計画していたことから経費負担に充当する資金がなくなり損失を計上。元々小資本で事業運営を行っており、また民間企業からの受注も少額増に留まったことが、見通しと違っていた。資金調達も期間を要し、支払いもギリギリとなった。
既存株主への資金提供の要請やその他ベンチャー支援の公的ファンドへの申請、借入金などを含めた資金調達を検討した。また、受託生産事業の強化などを行った。
元々株主などからは追加支援の意思を得ており、多少の時間を要したが2007年5月に増資を実行。ベンチャー支援の公的ファンドからも、資金調達することが出来た。
2008年期はA機構以外からの受託研究・補助金支給について確定しており、他の研究所との共同研究・D財団でのプロジェクト参加が決まるなど、依然として補助金などによる収入主軸ながらも収入アップの見通し。
小資本金・内部留保がない経営基盤
受託研究は単年毎に予算決定となるところを、毎期継続できるという見通しを立てていた。また、収入は受託研究が中心で、これは余剰させる性質のものではないため、これまでも利益計上はほとんどなく、内部留保などはない運営であった。資本増強なども事業化時期に予定していたもので、小資本を続けていた。
収入の主軸である補助金枠が減少した
A機構の関連政策に変更はなかったが、他の公共団体と同様に予算が厳しくなっている様子であり、一部の予算変更があった模様。補助金がなくなり受託できなくても当社だけで研究・開発は継続せざるを得ない部分がほとんどで、費用の削減努力は一部しかできず、資金の流出は止められなかった。また、補助金は申請から半年程度掛かることやここ数年手続きや報告書類が増えており、時間的にも制約されることから、継続分のみで他の機関で平行した申請などは行っていなかった。
補助金を得ての運営は、本来の企業目的ではないこともあって、受託研究・補助の獲得へは意欲的ではなかった。また、一部ながらも民間からの受注による事業が開始できたことで経営意識が同方向へ移っていたが、商品の特殊性もあり大幅な受注増とはならなかった。事業開始時期から考えると事業化と拡大は一気に行えると考えていたが、研究・開発や製品化の期間などは見通しなどが甘かった部分もある。
起業した当時、ベンチャー企業による経済活性化などが掲げられてはいたが、当社の場合を考えると企業として形にするには時期が早かった。また、A機構などで研究への支援は行われていても予算行政の中、単年毎に結果を求める形となるため、実際の研究期間とのギャップがあり、実際には利用しづらい部分もある。
社内的な要因から考えると、収入の増減に対応出来るように、従前から資本の充実などを図っておくべきであった。また、緊急時の資金調達なども方法を整備していれば、回避できたと考えている。お金は企業の生命線であり、常に自己資本の充実などを図っていかなければならない。
また、資金繰りに経営者がとらわれると事業がストップしてしまい、悪循環を生む。研究・開発型の企業の場合は実際の事業化までの期間をシビアに検討する必要がある。
公的資金による受託研究・補助金などは制約が多く、自立した運営を行い難くなる側面があることもわかった。
当社の取り組む基礎研究は専門誌に取り上げられるなど従来から評価が高く、当社商品は様々な応用も期待されており、一部商品は事業化目前となっている。各事業においても大手企業などを含めて提案は多く、研究者などの人的面も特には問題がない。
また、代表が大学教授と兼務のために多忙を極めており、経営面の課題のひとつではあるが、その点についてはサポートを受けるなどで対応している。
今後も資金に関する点は優先的な経営課題と考えており、実際の製造・生産の段階になれば更に多額の投資も必要となる可能性を想定し、現在でも準備を行っている。