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事業承継での資金調達と個人保証をご説明します。事業承継にお悩みの方は、中小企業のM&A・事業承継に強い弁護士にご相談下さい。

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6 事業承継での資金調達と保証債務

M&A・事業承継に強い、弁護士の鈴木陽介です。

会社の引継ぎにお悩みの経営者の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。会社の引継ぎ、承継には、M&A、事業承継に強い弁護士を関与させるべきです。


弁護士鈴木が力を入れているM&A・事業承継のコラムです。

事業承継での資金調達と個人保証をご説明します。内容は、中小企業庁の公表資料「経営者のための事業承継マニュアル(平成29年3月,中小企業庁)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜編集等しています。

T 資金調達


1 事業承継にはお金がかかる

事業承継後に資金繰りが厳しくなるケースも
事業承継を行うにあたり、自社株式・事業用資産にかかる相続税や贈与税の納税資金を始め、事業承継後の安定した経営のためには、さまざまなお金が必要となります。
一方で、経営者の交代を機に、金融機関が融資審査を厳しくしたり、取引先から支払条件の見直しを迫られることがあります。経営者が事前に、金融機関等との間で事業承継に伴う資金ニーズにかかる協力を取り付けておくことが望まれます。

2 親族外承継での資金調達

自社株式等を取得するための資金調達が課題
自社株式・事業用資産を相続や贈与によって取得する親族内承継と比べて、役員・従業員への親族外承継の場合、自社株式などを経営者から有償で譲渡されるケースが多く、その取得資金を確保することが課題の一つといえます。

経営者の親族と事前の合意形成が重要になる
経営者から遺贈や贈与によって株式・事業用資産を承継する場合、相続税・贈与税の課税を受けることになります。この場合、経営者の子や親族との合意形成が極めて重要です。経営者は、事業承継する役員・従業員の経営環境を整備することが求められます。

従業員後継者が直面する問題
従業員は、経営者と比べて会社経営に対する覚悟や責任感が大きく異なるといわれています。
従業員に「自身の責任で会社を経営する」という覚悟を持ってもらうことが重要です。
経営者の親族等が従業員後継者による会社経営に協力的であるよう、経営者による親族、そして従業員後継者の配偶者とのコミュニケーションも重要です。

役員・従業員の後継者と経営者親族との関係を調整するために、無議決権株式や配当優先株式等を活用して自社株式を相続人等に分配する手法もあります。専門家への相談も有効です。

資金調達の成否が事業承継のカギを握る
MBO(役員による株式取得:Management Buy-Out)、EBO(従業員による株式取得:Employee Buy-Out)では、株式を取得するための資金をどのように調達できるかが、事業承継の成否を決めます。
資金調達の手法としては、金融機関からの借り入れや後継者候補の役員報酬の引き上げなどが一般的です。経営承継円滑化法に基づく金融支援は、親族内承継に限らず、親族外承継でも利用できるので、積極的に活用したいところです。
比較的規模の大きい中小企業の事業承継では、後継者の能力や事業の将来性を見込んだファンドやベンチャーキャピタルなどからの投資によって、MBO・EBOを実行するケースも増えてきています。

3 経営承継円滑化法による金融支援

事業承継に必要な資金を融資
経営承継円滑化法に基づく都道府県知事の認定を条件に、事業承継時に金融支援が受けられます。

生命保険を活用して事業承継資金を確保する
死亡保険金について受取人(後継者)が指定されている場合、その死亡保険金は原則として遺産分割の対象とならず、遺留分算定基礎財産にも含まれません。後継者は、死亡保険金を確実に受け取ることができるので、事業承継に伴う納税資金、自社株式・事業用資産の買取資金として活用することができます。
経営者の死亡に伴い、会社は死亡退職金の支払い、自社株買取資金等を準備する必要が生じます。死亡保険金の受取人を会社とすることで、その資金を確保することができます。
死亡保険金は速やかに受取人に支払われるため、相続発生直後の資金需要に活用できるというメリットがあります。

事業承継時の幅広い資金ニーズに対応
経営者の死亡などに伴い必要となる中小企業者の資金調達をサポートします。親族外承継や個人事業主の事業承継を含め、株式・事業用資産の取得資金、信用力の低下時の運転資金、相続税の納税資金など幅広い資金ニーズに対応します。


U 債務や個人保証への対応


1 債務や保証、担保等の承継

経営者個人の債権・債務
事業承継の際には、現経営者が負っている債務(経営者個人が借り入れている事業用資金)の承継に配慮する必要があります。経営者が会社に対して貸付を行っているような場合もあり、こうした場合には、その間の債権・債務関係に注意して準備を進める必要があります。なお、経営者の相続時には、経営者個人の債務を相続人の間でどのように相続するのかという問題も生じます。
また、事業承継に伴い、前経営者の保証を解除するにあたり、金融機関等の債権者の同意を取り付ける必要があります。

自己所有の不動産を担保に提供している場合
例えば複数の相続人がいる場合に処理をしないまま相続が発生した場合には、担保に供している事業用資産が複数人に相続され、円滑な経営に支障を来す可能性もあります。
債務の圧縮を図りながら、経営改善への取組など、金融機関との信頼関係を構築することが重要です。

経営者の債権や保証債務を相続した場合の取り扱い
自社が債務超過の状態にあっても、経営者の会社に対する貸付債権は相続財産として課税対象に。
原則として保証債務は債務控除の対象とならない。
経営者の貸付金は法定相続分で分割される。

2 事業承継での経営者保証ガイドラインの活用

円滑な事業承継をすすめるために
事業承継では、後継者の経験やノウハウが乏しいことが少なくないため、金融機関は、事業承継時の経営者保証の解除に対しては消極的であることが一般的でした。
しかし、経営者保証がスムーズな事業承継を阻害する要因の一つとなっていることなどを受けて、日本商工会議所と一般社団法人全国銀行協会が設置した「経営者保証に関するガイドライン研究会」によって「経営者保証に関するガイドライン(以下、「経営者保証ガイドライン」という)」が策定されました。経営者保証ガイドラインでは、金融機関に対しても、事業承継時の現経営者との保証契約の解除、あるいは後継者との保証契約の必要性等について改めて検討することを求めています。
経営者保証ガイドラインに沿って事業者が財務基盤の強化などの取組を進めることで、金融機関が経営者の個人保証の解除に応じる場合があります。

中小企業等に求められる経営状況
@会社と経営者との関係の明確な区分・分離(一体性の解消)
●資産の分離
●経理・家計の分離
例)会社から経営者への貸付等による資金流出の防止など
A財務基盤の強化
例)会社の資産や収益力で借入金の返済が可能と判断できる財務状況および経営成績が期待されている
B財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性の確保
※経営者および後継者は、金融機関からの情報開示の要請に対して適切に対応する必要があります。具体的には、年1回の決算報告(貸借対照表、損益計算書、勘定科目明細等)や、試算表・資金繰り表などの定期的な報告などです。


会社の引継ぎ、M&Aに臨む中小企業の経営者の方は、お電話下さい。事業承継・M&Aに強い弁護士が具体的にアドバイスします。


事業承継・M&Aのコラム


中小企業庁の事業承継マニュアルに基づくコラムです。
事業承継・M&Aの際にご活用下さい。

 コラム:事業承継マニュアル

1 事業承継のアウトライン

2 事業承継計画

3 後継者の選び方と教育方法

4 事業承継と生前贈与、遺言、種類株式

5 事業承継と税金 

6 事業承継での資金調達と保証債務

7 M&Aと個人事業主の事業承継



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弁護士鈴木陽介書籍M&A事業承継

書籍:歯科医院の事業承継とM&A

学建書院,2016年