M&A・事業承継に強い、弁護士の鈴木陽介です。
会社の引継ぎにお悩みの経営者の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。会社の引継ぎ、承継には、M&A、事業承継に強い弁護士を関与させるべきです。
弁護士鈴木が力を入れているM&A・事業承継のコラムです。
事業承継計画をご説明します。内容は、中小企業庁の公表資料「
経営者のための事業承継マニュアル(平成29年3月,中小企業庁)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜編集等しています。
T 事業承継計画とは
事業承継計画の策定にあたっては、まず会社・事業の現状を把握し、会社の中長期的な経営方針や目標を設定します。その上で、事業承継の実行に向けて会社・経営者・後継者それぞれの具体的な行動を盛り込んでいきます。
1 事業承継計画とは何か
事業承継の具体的な進め方を定めた計画を策定する
自社を取り巻く状況を踏まえて、事業承継を着実に進めていくために、具体的な「事業承継計画」を策定します。事業承継計画は、経営者が一人だけで考えるものではありません。後継者や親族などと一緒に、取引先や従業員、金融機関等との関係などを考慮しながら、策定します。
中長期的な経営方針や目標を設定する
事業承継計画では、自社の中長期的な経営方針、方向性、目標などを設定しながら、その中に事業承継の行動計画を盛り込んでいきます。
事業承継後に事業運営を担うのは後継者ですので、後継者抜きの計画策定は基本的にありえません。後継者が実行できる取組まで事業承継後の目標として織り込むことができれば、経営者交代があっても、切れ目のない一貫した事業展開が期待できます。
事業承継計画の策定は、「計画書」を作ることが目的ではありません。経営者と後継者とが「事業承継」という共通の目的意識をもって計画を策定するプロセスも事業承継を着実に進めていくための土台になります。
2 これまでの歩みを振り返りながら計画を作る
事業を続けてきた経営者の想いを整理する
承継作業のスケジュールとは別に、会社の経営理念や経営者の想いを後継者・従業員へつなげていくことで、事業承継後もブレることのない事業運営、会社の強みを維持できます。
将来に向けた計画を策定する前に、まず経営者が現在に至るまでの過去を振り返り、創業時の状況、これまで事業を運営してきた歩み、転機を再確認してみましょう。
U 事業承継計画の策定方法
1 会社の中長期目標を設定する
現状を把握した上でこれからの経営計画を作成する
経営の「見える化」、会社の「磨き上げ」などを行い、会社の現状把握と課題の解決策を進めながら、会社の将来に向けた中長期的な経営計画、経営ビジョンを策定します。会社の事業規模、事業の方向性、売上高や経常利益など具体的な数値目標を設定します。この中長期的な経営計画を踏まえて事業承継の実行計画を重ねていきます。
2 事業承継に向けた経営者の行動を設定する
事業承継は経営者のアクションから始まる
経営者のアクションが事業承継に向けた第一歩となります。経営者の具体的な行動としては、後継者の選定に始まり、税理士などの専門家のサポートを受けながら、自社株式をはじめとする事業用資産の承継を計画的に進めます。後継者の育成も経営者の大事な役目の一つです。
経営者の生前対策がトラブル防止に効果的
後継者に自社株式を集中的に承継することで経営権の分散リスクに備えることができます。そのためには、後継者を早期に選定し、経営者が計画的に生前贈与を進めていくことが望まれます。相続トラブルを防ぐためにも遺言を作成しておくことが理想的です。遺留分や後継者以外の相続人の心情にも配慮しましょう。
3 事業承継に向けた後継者の行動を設定する
次期経営者という自覚を持って意欲的に行動する
社内外の関係者に「次期経営者として認めてもらう」という立場で、自社の経営を取り巻く環境に対する理解、経営に必要な実務能力を高めることを心がけた行動計画を設定します。企業理念や経営方針、経営者としての覚悟、振る舞いについても、経営者とコミュニケーションを図りながら身に付けていくことが大切です。
経営承継円滑化法の活用で事業承継に伴う負担を軽減できる
経営承継円滑化法による中小企業の事業承継を支援する措置があります。同法に規定する要件を満たすことで、遺留分減殺請求を防止する民法上の特例、自社株式の贈与・相続に係る税負担を軽減する事業承継税制といったサポートを受けることができます。
4 事業承継に向けた会社の行動を設定する
経営権の分散リスクに備えた体制作りを進める
会社の行動は、自社株式の分散を防止するための行動が中心となります。経営者が経営権を掌握している事業承継計画の早い段階で、定款の変更などを行います。また、経営者交代のタイミングで経営者に対する退職金の支給があるので、原資を確保するための資金プランも考える必要があります。
5 関係者と事業承継計画を共有する
作り上げた事業承継計画は、関係者とも共有する
事業承継計画を関係者と共有しておくことで、後継者、従業員のノウハウ習得、会社組織の再構築など、経営者交代に伴う体制作りを進めることに対する理解や協力が得られやすくなります。また、事業承継後の信頼関係の維持にもつながります。一方で、後継者が関係者に認知されるかどうかは、事業承継の成否に関わる重要なポイントです。社内外の経営環境を踏まえながら、計画的に対策を実施していくことが求められます。
後継者の公表のタイミング
会社の利害関係者が後継者に求める条件として、経営に関する能力や知識、コミュニケーション能力を持っていることなどが挙げられます。後継者として認知してもらうためには、このような条件を満たすようになったタイミングで公表することが理想的ですが、これを理由にいつまでも公表を先延ばしすることのないよう注意も必要です。
会社の引継ぎ、M&Aに臨む中小企業の経営者の方は、お電話下さい。事業承継・M&Aに強い弁護士が具体的にアドバイスします。
事業承継・M&Aのコラム
中小企業庁の事業承継マニュアルに基づくコラムです。
事業承継とM&Aの際にご活用下さい。
コラム:事業承継マニュアル