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親会社が倒産し民事再生となった経営失敗の実例です。経営不振に悩む経営者の方は、会社の倒産、破産に強い弁護士にご相談下さい。

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78 不動産業の経営の失敗:親会社の倒産による民事再生

会社の倒産、破産に強い弁護士の鈴木陽介です。

ここでは、親会社が倒産し民事再生となった実例をご説明します。経済産業省の公表資料「ベンチャー企業の経営危機データベース」に基づいており、弁護士の鈴木が適宜修正編集等しています。

なお以下が会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧です。ご活用いただければ幸いです。
・ 会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧


会社経営の失敗の概要


 資金調達を依存していた親会社が倒産し民事再生に

官民一体となった再開発事業の中核的商業施設を運営し、商業施設の開業当初は1,200万人を超えたが、地域経済と人口減の影響もあり徐々に集客数は減少。こうした中、表裏一体であった親会社が倒産し、資金調達を全面的に依存していた当社も連鎖的に倒産に追い込まれる。

 企業プロフィール

所在地 北海道
業種 不動産業
従業員数 25名
設立・創業 設立:平成3年11月/創業:平成3年11月
事業分野 その他(大型商業施設の管理運営)
事業概要 平成11年に国内最大級の大型複合商業施設をオープンし、同施設の管理運営(賃貸)を行っている。売り場面積は約10万平方メートルで、現在のテナント数は約130。
社長の年齢 50歳代
創業時の属性
(職業)
会社勤務(その他:会社経営)


会社経営の失敗の詳細


 結論

親会社が倒産し、親会社に経営を依存していた当社も連鎖的に倒産に至る。自治体からの運転資金や地元企業からの資金援助の道が閉ざされ、当社独自で倒産を回避する手立てはほとんどない状態となり、地域経済の影響を考慮し、再建型の民事再生法の適用を申請した。

 設立から成功までの経緯

貨物ヤード跡地の再開発事業として、大型複合商業施設建設を目的に平成3年に当社を設立。その後、同施設には総額400億円強の資金が投じられ、大型商業施設が開業した。建物全体の延床面積は約10万平方メートルと、国内最大級の大型複合商業施設で、ショッピングセンターのほかシアター、アミューズメント施設など様々な業態が集積。当社は各テナントの賃料、共益費収入、駐車場収入を柱として平成13年期には売上高127億円、当期利益17億円を上げた。

 トラブル・失敗・課題に至る経緯

開業1〜2年目の年間来館客数は1,200万人台と目標を上回ったが、その後は下降線を辿り、客単価も見込みを大幅に下回った。平成13年に親会社からの賃料の前払い分があり、なんとか赤字を食い止めた。その様な状況下、同年に親会社が民事再生法を申請し倒産。資金調達面は全面的に親会社に依存していたうえ、施設の主要テナントがグループ会社で占められていたことから、親会社の倒産の影響をもろに受ける形となった。

 対処と結果

親会社が民事再生を申し立てた後、独自に資金調達を図るべく自治体などにつなぎの運転資金援助の要請は行ったが不調に終わった。その他、地元企業からの支援も得ることが出来ず、最終的に当社独自で倒産を回避する手立てはほとんどない状態であった。官民一体となった再開発事業の中核をなす施設である点と、あまりにも施設自体が大きく、就業者数も多かったことから地域に与える影響が大きいため、再建型の民事再生を選択した。

 原因

(1) 特性

親会社とは表裏一体の事業運営
同社は、官民一体となった再開発事業の中核施設の建設を目的に参加した親会社が、大型商業施設の運営のみを目的に設立した企業であり、親会社とは表裏一体の事業であり、親会社およびグループ会社に依存した運営であった。

(2) 要因

親会社の倒産
資金調達面は全面的に親会社に依存していた点と、施設の主要テナントがグループ会社で占められていたことが、親会社の倒産の影響をもろに受ける形となった。

 経営判断の問題点

同施設は、当初は地域内のみならず地域の外からも、さらには東南アジアからも集客を図るという構想であったが、当初の計画やその後の業績低迷をみると、周辺人口や商圏に対して施設の規模が大きすぎており、過大な投資であった可能性が高い。娯楽施設としての機能が薄く、グループ企業が展開する既存の業態を中心とした物販店舗が大部分を占めたため、商業施設としての目新しさも不足していた。

 背景

商業施設周辺の人口は年々減少しているうえ、高齢化が進んでいる状況であり、地域経済も低迷を続けている。当社の収入の中心となるテナントからの賃料は、各テナントの売上に大きく依存しており、当地区の経済の低迷より直接的に影響を受けることとなった。

 得られた教訓

あくまでも親会社の倒産が直接的な原因であり、当社としては連鎖による倒産は不可避なものであった。ただ、当地区の商圏からみると当社の運営する施設はあまりにも巨大で、維持費の負担が大きすぎた。地域経済の低迷でテナントを埋めるにしても容易ではなかった。
また、プロジェクト全体としては、官民一体となった再開発事業という位置づけでスタートした計画であったが、1つのグループ企業に大きく依存した事業であったことが、最終的に大きくつまずいた要因といえる。当初から地場の複数の有力企業から出資を受け、特定の企業に属さない形態であれば、少なくともすぐに倒産に至るということはなかったかもしれない。

 後日談

金融機関からの資金調達ができない状態のため、思うように施設内のリニューアル等が進めることが難しい状況にある。現在の大きな課題は財務面の改善と大型テナントの誘致であるが、この解決のため大口債券者の債権の減免を求める特定調停を申し立てた。順調に進めば新たな資金調達が可能となり、経営は安定すると思われる。今まで二の足を踏んでいた大型テナントも誘致できるようになり、大幅な業績の改善が期待できる。

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