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造園土木の会社の資金不足による倒産危機の実例です。経営不振に悩む経営者の方は、会社の倒産、破産に強い弁護士にご相談下さい。

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77 建設業の経営の失敗(3):造園土木会社の倒産の危機

会社の倒産、破産に強い弁護士の鈴木陽介です。

ここでは、造園土木の会社の資金不足による倒産危機の実例をご説明します。経済産業省の公表資料「ベンチャー企業の経営危機データベース」に基づいており、弁護士の鈴木が適宜修正編集等しています。

なお以下が会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧です。ご活用いただければ幸いです。
・ 会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧


会社経営の失敗の概要


 造園土木の会社が慢性的な資金不足で倒産の危機に

定年退職後、最低資本金特例制度を利用して設立。販路を広げるため、身の丈以上の受注を獲得し、工事費立替のための資金繰りに窮する綱渡り的な経営を余儀なくされる。現在も財務基盤が脆弱で資金不足の状況が続く。

 企業プロフィール

所在地 福岡県
業種 建設業
従業員数 3名
設立・創業 設立:平成15年3月/創業:平成15年3月
事業分野 その他(造園土木)
事業概要 造園土木を手掛ける。代表者前職時のつながりで、当初はR建設及び同グループ会社からの受注がほとんどだったが、現在では同社のほか福岡県等の自治体、その他民間業者からの受注を獲得し、業容は順次拡大しつつある。
社長の年齢 60歳代
創業時の属性
(職業)
会社勤務(定年退社)


会社経営の失敗の詳細


 結論

会社設立時から引き継ぎ顧客がいたため相応の受注が得られたが、反面会社設立時資本金20万円と過小資本で、運転資金が不足。財務面の充実が図られていない状況で、受注を多く獲得したため通常の資金繰りが困難となった。

 設立から成功まで

電機メーカーに入社し約15年間勤務後、造園土木を手掛ける関連会社に出向し、取締役を務めた。同社を定年退職した後、同社緑化部は解散したが、取引先であった大手ハウスメーカーからの要請があり、最低資本金特例制度を利用して当社を設立した。引き継いだ顧客がいたため、当初から受注基盤は整っていたが、同社及び同社の関連会社からの受注に対する依存度が高かったため、受注拡大すべく県や市町村など自治体のほか、民間企業へも間口を広げている最中である。売上高は毎期増収を維持し、平成19年は対前年比110%を上回った。

 課題・ヒヤリとした経験

最低資本金特例制度を利用して設立したため資本金は20万円と過小で、実績も乏しいことから銀行融資を受けることが困難であった。業種柄、工事による立替金需要が生じるため、資金繰りに困ることが多かった。月末など支払が集中する日は、一部取引先に交渉するなど、当初は綱渡り的な経営を強いられた。財務面の充実が図られていない状態であったが、受注を多く獲得したため常に資金不足の状況が続いていた。

 対処と結果

取引先への説明廻りに東奔西走したほか、支払日をなるべく回収日の後に来るように考えて商品を購入した。また、国民生活金融公庫より事業者融資を受けて、手元資金に余裕を持たせるようにした。取引先に協力を得られたほか、融資を得られたため資金繰りは一応楽になった。しかし、創業時に赤字を抱えていたなど、当初から資金面が脆弱だった一方で、受注が拡大傾向にあったため、運転資金は不足している状況が続いていた。現在でも改善されておらず、資金面は厳しいものがある。

 原因

(1) 特性

最低資本金特例制度により設立したため過小資本
過小資本で当面の運転資金が不足する状態が続いた。特に土木工事業者であるため、外注業者への立替金需要が恒常的に発生し、受注があっても立替負担が継続し、手元資金が薄い状況が慢性的に続いた。

(2) 要因

身の丈に応じた受注ではなかった
前職時からの顧客を引き継いだため、設立当初から受注基盤が整い、さらに新規の顧客も数多く獲得できたが、その受注に応じられるだけの資金力がなく、無理のある経営が続いた。

 経営判断

設立1期目の赤字はやむを得ないが、2期目以降も思うように採算が取れず、赤字もしくは黒字でも低調推移が続き、財務体質の強化が進まない一方で、受注窓口を拡大していった。平成19年期においても債務超過の状態に陥っており、不足資金は借入及び代表者の手出しで穴埋めしているが、規模拡大が先行し財務面の強化が後手に廻った。

 背景

公共投資の削減で工事量が減っていくなか、工事業者数は横這いのため同業者間の競争は激化している。工事単価が下がり利幅が取りづらい状況にある。また、銀行も収益力重視で融資する姿勢に変化し、実績に乏しい会社は融資が難しくなった。

 得られた教訓

前職時の繋がりがあって断れなかったとは言え、取引先からの受注を多くこなした分資金需要も増え、身の丈に応じた経営をしていなかったのは否めない。自社の人員や財務状況に照らして、身の丈にあった仕事量を見極めて実行すること。また、設立後の企業は取引先及び銀行にも実績が少ないため、仕事を着実に丁寧にやって実績を一歩一歩築かなければならない。さらに、現在資本金は1円からでも起業できるようになったが、事業を軌道に乗せ、資金的に余裕が生じるまではかなり時間を要するので、もし可能であったならば設立時に資本金を多く用意しておくべきであった。

 後日談

前職を定年退職して設立したが、いわゆるセカンドライフは非常に充実している。定年後、何をやることもなく時間を過ごすよりも、毎日が新しい発見や人との出会い、折衝ができる事にやりがいを感じる。経営状況はまだ小規模であるが、受注は増加、売上高も年々増加しており、着実に企業として成長している。造園は住宅や橋などと違い、無くても生活できる言わば「ぜいたく品」で優先順位は低いが、地道に実績を重ね、ゆくゆくは多くの顧客から選ばれる企業となりたい。

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