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実験による裏付けデータで健康に良い工法である事は自信を持っており、社会でもシックハウス症候群がクローズアップされる中、新工法開発に注力。加盟店も順次拡大し、確かな手ごたえを掴んでいたが、開発当初から資金調達に計画性が無く、開発に踏み切ると借入は瞬く間に増加した。その後も開発投資は嵩み続け、借入総額は年商規模にまで膨れあがり、資金繰りに窮した。
所在地 | 長野県 |
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業種 | 建設業 |
従業員 | 17名 |
設立・創業 | 設立:平成3年2月/創業:平成3年2月 |
事業分野 | その他(工法販売とその部材販売) |
事業概要 | シックハウス症候群対策として開発した新工法で、特許も取得している。平成18年から自社建築を止め、新工法販売とその部材販売に特化。平成19年8月時点で、代理店は全国24社、会員数は全国592社に達する。 |
社長の年齢 | 40歳代 |
創業時の属性 (職業) |
会社勤務(スピンオフ/スピンアウト) |
新工法の開発に着手してから、金型製作など部材開発費が徐々に増加し、年商に匹敵する銀行借入まで膨れあがった。新工法の加盟店数は順調に増加していたが、如何せん売上に結びつかず、資金繰りは悪化していった。加えて当時は金融機関の貸し渋りが起きていた時期で、時には倒産も頭を過った。
親類が経営する工務店に入り経験を積んだが、自分自身が理想とする家作りをしたいとの思いが強まり、当社を設立。設立以来、住宅建築を行ってきたが、大手ハウスメーカーの高気密住宅が台頭し、受注は頭打ちになった。シックハウス症候群の原因と言われる高気密住宅に疑問を抱き、平成9年に新しい工法の本格開発に着手。翌年より会員募集を開始し、その後、会員募集を北海道から鹿児島まで順次拡大。平成19年には全国代理店24社・全国会員592社に達する。
実験によるデータ裏付けで、身体に良い工法との自信はあった。時代背景でもシックハウス症候群がクローズアップされる中、健康に寄与したいという思いが募り、平成11年から開発に専念し、翌年以降は順次加盟店も拡大し、確かな手ごたえを掴んでいた。しかし、開発当初から資金調達に計画性が無く、開発を開始すると借入は瞬く間に増加した。売上は少しずつ伸びてはいたが、それ以上に開発投資は嵩み続け、平成14年頃には借入総額は年商規模にまで膨れあがった。借入枠は一杯で資金調達は限界に達し、資金繰りに窮することとなった。
代表者所有の不動産は既に全て担保提供され、追加担保が無い限り、金融機関から融資されない状況下で、兄弟・友人等から不動産担保の提供を受け、最悪の事態は免れた。
従来から金融機関では、当社開発内容には賛同を示しており、追加担保提供と同時に融資は実行され、その後、加盟店も拡大し、売上も増加していった。
杜撰な資金計画と技術力への高い依存
ドンブリ勘定的資金計画で、資金面より開発優先で投資額が膨れ上がった。技術的には強く、健康に良い工法であることは徐々に認識されつつあったが、売れる事とは別次元である。売上計画の甘さから、資金はすぐに枯渇していくこととなった。
投資回収の遅れ
裏付けデータから技術的には自信を持っていたため、早急な工法完成を目指した。しかし、資金面に計画性が無く、投資限界の見極めができなかった結果、開発が進むにつれて借入総額は膨れ上がり、年商規模にまで達した。工法に賛同する工務店は多く、加盟店も猛烈な勢いで増加したが、実際の受注に結び付くまでには相応の時間を有したため、投資回収が遅れた。
開発時において、綿密な資金計画がなく、殆ど見切り発車であった。大半の開発資金は返済期間が1〜3年であり資金繰りは直ぐに行き詰まったが、加盟店が加速度的に増加していたため、それ程借入返済に対して不安を抱いていなかった。しかし、実際は受注となるまでに相応の時間を有し、加盟店増加と実需までにはタイムラグがあったため、投資回収が遅れ、借入返済に誤算が生じた。
高気密住宅がシックハウス症候群の原因であるとの認識は世の中に広まっていたが、一方で既に日本を代表する住宅様式として定着しており、思惑通りに受注は伸びなかった。資金調達面では、金融機関からの貸し渋りに遭遇、加えて法律改正を契機に政府系金融機関より優遇融資を受けようとしたが、実際には前例が無いという事で、法律改正に基づいた融資は実行されなかった。
技術的な不安は全く無かったが、資金面で苦戦した。99%開発が成功していても、たった1%資金繰りが狂うだけで費やしてきた努力は泡と消えるため、綿密に資金計画を立て、開発に取り掛かるべきであった。開発面の成功と資金面は別物で、資金調達計画が立たなかったら、諦めるべきであった。
『ベンチャーに成功はあり得ない』:開発資金が大きく、一工務店が扱う内容ではなかった。開発は成果が出るまでに相応の時間を有するが、金融機関は直ちに結果を求め、駄目と判断すると資金回収に取り掛かる。ベンチャー経営者と金融機関との成果に対する時間軸の差は大きい。
『世の中の状況に不満を言ってはならない』:ベンチャー企業に対する公的機関の支援や金融機関の対応には必ずしも満足していないが、新工法開発を決断したのは自分自身であり、結局全ての責任は自分にある。
平成18年特許を担保に資金調達し、本社(兼工場、展示場、研究所)を新築移転。現在は、自社建築を止め、新工法の販売及びその部材販売に特化している。現状、年間800棟の施工だが、早急に年間1,000棟を達成したいとしている。広告宣伝費を大手ハウスメーカーほどかけられない中、代表者は書籍出版で人々に訴える事を決意。間もなく最新刊が出版される予定で、全国の書店を回って地道に行動していくという。