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事業承継の進め方、事業承継計画の策定、M&Aマッチング、事業承継の実行をご説明します。事業承継にお悩みの方は、中小企業のM&A・事業承継に強い弁護士にご相談下さい。

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5 事業承継の進め方(3)

M&A・事業承継に強い、弁護士の鈴木陽介です。

会社の引継ぎにお悩みの経営者の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。会社の引継ぎ、承継には、M&A、事業承継に強い弁護士を関与させるべきです。


弁護士鈴木が力を入れているM&A・事業承継のコラムです。

事業承継の進め方、事業承継計画の策定、M&Aマッチング、事業承継の実行をご説明します。内容は、中小企業庁の公表資料「事業承継ガイドライン(平成28年12月,中小企業庁)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜編集等しています。

 M&A・事業承継のコラム

1  事業承継の類型:親族内承継 従業員承継 M&A
2  事業承継の構成要素:人(経営) 資産 知的資産
3  事業承継の進め方(1):ステップ1・2
4  事業承継の進め方(2):ステップ3
5  事業承継の進め方(3):ステップ4・5
6  ポスト事業承継:成長と発展
7  事業承継を断念し廃業する場合
8  親族内承継のポイント
9  従業員承継のポイント
10 M&Aのポイント
11 事業承継での種類株式の活用
12 事業承継での信託の活用
13 事業承継での生命保険、持株会社の活用
14 個人事業主の事業承継


事業承継に向けた5つのステップ(再掲)


ステップ1

 事業承継に向けた準備の必要性の認識

ステップ2

 経営状況・経営課題等の把握(見える化)

ステップ3

 事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)

ステップ4

 事業承継計画策定・マッチング実施

ステップ5

 事業承継の実行・M&A等の実行

ステップ4−1:事業承継計画の策定(親族内・従業員承継)

 事業承継計画策定の重要性

 ステップ2、ステップ3記載のとおり、まずは自社を知り、そして自社を強くすることが、事業承継の準備においては重要です。

 一方、具体的に事業承継(資産の承継・経営権の承継)を進めていくにあたっては、自社や自社を取り巻く状況を整理した上で、会社の10年後を見据え、いつ、どのように、何を、誰に承継するのかについて、具体的な計画を立案しなければなりません。この計画が、事業承継計画です。

 事業承継計画は、後継者や親族と共同で、取引先や従業員、取引金融機関等との関係を念頭に置いて策定し、策定後は、これらの関係者と共有しておくことが望ましいといえます。こうすることで、関係者の協力も得られやすく、関係者との信頼関係維持にも資するものとなります。さらに、後継者や従業員が事業承継に向けて必要なノウハウの習得や組織体制の整備などの準備を行うことができるなど、様々な利点があります。

 なお、事業承継計画の策定にあたっては、成果物としての計画書を作成することを目標にすべきではなく、策定プロセスやその活用による経営者自身とその関係者にとってのメリットを最大化してこそ、意味があるものです。

 事業承継計画策定の前に

 事業承継計画は、資産や経営権をどのように承継するかを基本とするものです。しかし、事業承継の根幹のひとつとして、自社の経営理念を承継することの重要性を忘れてはなりません。いわゆる老舗企業において、時代が変わっても受け継いでいく想いを大切にしている例が多いことからも、資産や経営権のみならず、会社の理念や経営者の想いの伝承の重要さが示されています。

 その意味でも、事業承継計画の策定に先立ち、経営者が過去から現在までを振り返りながら、経営に対する想い、価値観、信条を再確認するプロセスは、事業承継の本質といえます。可能であれば明文化し、後継者や従業員と共有しておけば、事業承継後もブレることのない強さを維持できます。

 なお、事業承継「計画」を策定するというイメージから、現在から将来に向かっての計画のみを考えるものと認識されがちです。しかし、経営理念の承継の重要性を踏まえると、そもそも創業者は「なぜその時期に」「なぜその場所で」「なぜその事業を」始めたのか、その時の事業状況・外部環境がどうであったのか、その後の変遷の中で転機となることがらが生じた状況がどうであったか、といった振り返りから始めることが有効です。

 事業承継計画の策定

1 中長期目標の設定

 自社の現状とリスク等の把握を経て、これらを基に中長期的な方向性・目標を設定します。

 例えば、10年後に向けて現在の事業を維持していくのか、拡大していくのか、現在の事業領域にとどまるのか、新事業に挑戦するのか、といったイメージを描くことが必要です。この方向性に基づいて組織体制のあり方や、必要な設備投資計画等を検討し、さらに、売上や利益、マーケットシェアといった具体的な指標に落とし込みます。

 この過程においては、中長期目標において想定している期間の中で、いつ事業承継を実行するのかを織り込む必要があります。当然、事業承継後に目標達成にコミットするのは後継者であるため、後継者とともに目標設定を行うことが望ましいといえます。その際、事業承継後(ポスト承継)に後継者が行う取組についても中長期目標に織り込むことができれば、事業承継を契機とした再成長も期待できます。

2 事業承継計画の策定

 設定した中長期目標を踏まえ、資産・経営の承継の時期を盛り込んだ事業承継計画を策定します。

 具体的な策定プロセスの概要は以下のとおりですが、成果物としての事業承継計画書の作成自体を目的とするのではなく、策定プロセスにおいて現経営者と後継者、従業員等の関係者間で意識の共有化を図ることに重きをおくことが重要です。また、ステップ2(経営状況・経営課題等の把握(見える化))を十分に実施することが、実効的な事業承継計画の策定の前提となることに留意すべきです。
〇 自社の現状分析
 ステップ2(経営状況・経営課題等の把握(見える化))を通じて把握した自社の現状をもとに、次世代に向けた改善点や方向性を整理します。
〇 今後の環境変化の予測と対応策・課題の検討
 事業承継後の持続的な成長のためには、変化する環境を的確に把握し、今後の変化を予測して適切な対応策を整理することが望ましいといえます。
〇 事業承継の時期等を盛り込んだ事業の方向性の検討
 自社の現状分析、環境変化の予測を踏まえ、現在の事業を継続していくのか、あるいは事業の転換を図っていくのか等、事業領域の明確化を行います。さらに、それを実現するためのプロセスについても具体的なイメージを固めていきます。その中には、事業承継の時期や方法を盛り込みます。
〇 具体的な目標の設定
 前述の中長期目標の内容について、売上や利益、マーケットシェアといった具体的な指標ごとの目標を設定します。
〇 円滑な事業承継に向けた課題の整理
 以上の分析・整理を踏まえ、後継者を中心とした経営体制へ移行する際の具体的課題を整理します。ここでは、考え得る必要なアクション(例えば、専門家への相談や、資金調達)についても盛り込んでおくと、より実効的な計画策定が期待できます。

ステップ4−2:M&A等のマッチングの実施(社外への引継ぎ)


 後継者不在等のため、親族や従業員以外の第三者に事業引継ぎを行う場合、売り手はステップ1〜3の行程を経た後、買い手とのマッチングに移行します。

 以下では、M&Aの実行に向けた事前準備に簡単に触れます。

 M&A仲介機関の選定

 M&Aを選択する場合、自力で一連の作業を行うことが困難である場合が多いため、専門的なノウハウを有する仲介機関に相談を行う必要があります。

 仲介機関の候補としては、公的機関である事業引継ぎ支援センターを活用することが考えられます。また、M&A専門業者や取引金融機関、士業等専門家等も存在しており、選定にあたっては、日頃の付き合いやセミナー等への参加を通じて、信頼できる仲介機関を探し出すことが重要です。

 なお、個人事業主については、事業引継ぎ支援センターにおいて、起業家とのマッチングを支援する「後継者人材バンク」事業を実施しています。

 売却条件の検討

 M&Aを行うにあたっては、「どのような形での承継を望むのか」について、経営者自身の考えを明確にしておく必要があります。例えば、「会社全体をそのまま引き継いでもらいたい」 、「一部の事業だけ残したい」、「従業員の雇用・処遇を現状のまま維持したい」、「社名を残したい」等が考えられます。

 仲介機関に事前に売却条件を伝えた上で、条件に合った相手先を見つけることが最善の方法です。

ステップ5:事業承継の実行


 ステップ1〜4を踏まえ、把握された課題を解消しつつ、事業承継計画やM&A手続き等に沿って資産の移転や経営権の移譲を実行していきます。

 実行段階においては、状況の変化等を踏まえて随時事業承継計画を修正・ブラッシュアップする意識も必要です。なお、この時点で税負担や法的な手続きが必要となる場合が多いため、弁護士、税理士、公認会計士等の専門家の協力を仰ぎながら実行することが望ましいというべきです。


会社の引継ぎ、M&Aに臨む中小企業の経営者の方は、お電話下さい。今後のとるべき方向性や留意点などを事業承継・M&Aに強い弁護士がアドバイスします。



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弁護士鈴木陽介書籍マッチング

書籍:歯科医院の事業承継とM&A

学建書院,2016年