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事業承継(親族内承継)での後継者の選定・育成、親族・従業員との事前調整にをご説明します。事業承継にお悩みの方は、中小企業のM&A・事業承継に強い弁護士にご相談下さい。

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8-1 親族内承継(1):後継者の選定・育成、親族・従業員との調整

M&A・事業承継に強い、弁護士の鈴木陽介です。

会社の引継ぎにお悩みの経営者の方は、サンベル法律事務所にご相談下さい。会社の引継ぎ、承継には、M&A、事業承継に強い弁護士を関与させるべきです。


弁護士鈴木が力を入れているM&A・事業承継のコラムです。

親族内承継での後継者の選定・育成、後継者教育、親族との調整、従業員、取引先、金融機関との事前協議をご説明します。内容は、中小企業庁の公表資料「事業承継ガイドライン(平成28年12月,中小企業庁)」に基づいており、弁護士鈴木が適宜編集等しています。

 親族内承継のコラム

1  親族内承継(1):後継者の選定・育成

2  親族内承継(2):事業承継税制、退職金の活用

3  親族内承継(3):従業員持株会、遺言の活用

4  親族内承継(4):買取資金の調達、名義株の整理

5  親族内承継(5):保証・担保の承継、資金調達


親族内承継における課題と対応策


 親族内承継について、人(経営)、資産、知的資産の三要素、さらに資産の中でも債務の承継や、後継者による資金調達といった側面から、課題と対応策を説明します。従業員承継・M&Aの類型と比較すると、税負担への対応や株式・事業用資産の分散防止、債務の承継への対応に関して特に大きな課題が発生しやすいという特徴があります。

人(経営)の承継

 後継者の選定・育成

 後継者の選定は事業承継に向けた第一歩であり、事業承継の成否を決する重要な取組です。しかし、経営者が胸の内で後継者候補の見当をつけておけばよいというものではありません。事業承継について後継者候補の同意を得た上で、必要な育成を行いつつ、親族や従業員、取引先等の関係者との対話を進める必要があります。

1 後継者候補との対話

 事業を承継するということは、後継者の人生に大きな影響を与える難しい決断です。後継者に、事業を受け継ぐ者としての自覚を持たせ、事業承継に向けて経営者と二人三脚で準備を進めてもらう必要があります。そのためにも、早い段階から後継者との対話を重ね、事業の実態とともに、現経営者の想いや経営理念を共有していくプロセスが重要です。「以心伝心」や「阿吽の呼吸」と言えば聞こえはいいものの、何よりも「現経営者と後継者の対話」、これを通じた「事業についての認識の共有」を重ねていくことが重要です。

2 後継者教育

 中小企業の経営者には、事業運営に関する現場の知見はもちろん、営業、財務、労務等の経営管理に関する幅広い知見も必要です。このような能力を短期間で習得することは不可能ですので、後継者教育には十分な期間を準備し、必要な経験を積ませる必要があります。

 育成方法としては、大別して社内教育と社外教育が挙げられます。
〇 社内教育
 社内での教育には、現場に関する知見や会社特有の運営方法を学ぶことができ、また他の従業員等との信頼関係や一体感を築くことができるなどのメリットがあります。また、現経営者の目の届く場所で、経営理念を含めて経営者としての振る舞いや働き方を直接受け継ぐことができる点も重要です。
 具体的には、営業や製造の現場、総務、財務、労務といった各分野を一通り経験できるようなローテーションを組むことが考えられます。併せて、経営企画といった経営の中枢を担ってもらうことで、事業全体に対する理解を促しつつ重要な意思決定やリーダーシップを発揮する機会を与え、経営者としての自覚を育てることも検討すべきです。
〇 社外教育
 社外での教育には、他社での勤務経験を積むことと、セミナー等で体系的な教育を受けることの二つの方法があります。
 取引先や同業種等の他社で勤務させることで、経営手法や技術、会社のあり方について多様な経験を積むことができ、また外から自社を客観的に見る視点を持つことができます。また、商工会・商工会議所や金融機関等が主催する「後継者塾」や「経営革新塾」等へ参加させること、中小企業大学校や大学等の教育機関で学ぶことも、経営に関する広範かつ体系的な知識を得ることが期待できます。多様なツールを最大限活用し、後継者の資質や個性、中小企業の実情に適した育成方法を選択することが望ましいといえます。

 親族等との調整

 後継者を誰にするかという問題は、経営者個人が誰に事業を承継するかという問題にとどまらず、子や配偶者をはじめとする親族にとっても強い関心事です。これは、株式が親族内で分散していれば、株主たる親族としての関心であり、経営者の推定相続人にとっては、自身が将来的にどのような財産を相続するかという関心でもあります。また、事業承継後に親族等の協力を得ることは、後継者による円滑な事業運営にとっても不可欠な要素です。

 そこで、経営者のリーダーシップのもと、早期に家族会議・親族会議を開催し、親族との対話を図るなどして、経営者の事業承継に向けた想いを伝え、親族の同意を得ておくことが極めて重要です。

 従業員・取引先・金融機関との事前協議

 日常的に経営者と接し、当該中小企業においてその生活の糧を得ている従業員や、中小企業と取引を行っている取引先・金融機関にとって、誰が後継者であり、どのような計画で事業承継が行われるかを知ることは、言うまでもなく重要です。

 従業員にとってみれば、後継者候補の存在を知らなければ会社の将来性に対する不安が募り、士気にも関わります。後継者との信頼関係を構築するためにも、早期に後継者候補や事業承継計画を周知しておくべきです。

 また、取引先や金融機関に対して、事業承継の話題を持ち出すこと自体が信用問題につながると考え、避けてしまう経営者も存在すると言われています。取引先や金融機関にとって、経営者が高齢であるのに事業承継の計画が明示されないよりは、後継者候補の紹介を受け、事業承継に向けた計画を明示されたほうが、将来にわたって取引関係を継続していく上でも有益であることは明らかです。仮に事業承継にあたっての課題があるのであれば、金融機関が提供する事業承継サービスの利用を検討することも、有用な選択肢であると思われます。

 自社の後継者候補や事業承継計画について理解・協力を得られるよう、早期に説明を行うべきです。

 経営の承継の実行

 後継者の確保・育成や関係者との調整を経て、実際に事業を後継者に承継する段階を迎えます。

 会社形態であれば、代表取締役の交代による経営権の承継と、株式の移転による所有権(議決権)の承継を行うこととなります。経営権については、現経営者が代表取締役を辞任し、後継者が代表取締役に就任するための会社法上の手続きを踏まなければなりません。この際、取締役会設置会社においては取締役会決議が、取締役会非設置会社においては定款の定めに従った手続きが必要となります。株式については、贈与等の方法によって株主たる地位を後継者に承継し、会社の株主名簿の書き換えや、贈与であれば贈与税の申告等の手続きが必要となります。

 個人事業主の場合には、ある事業の代表者を示す客観的な概念が存在しないため、一般的には現経営者が税務署に対して「廃業届」を提出し(この届に、後継者の名称を記載することができます)、後継者は「開業届」を提出することとなります。

 いずれの形態であっても、これらの手続きを法律面・税務面からも円滑に実行するため、弁護士・司法書士や税理士等の専門家への相談・依頼を行うことが有用です。


会社の引継ぎ、M&Aに臨む中小企業の経営者の方は、お電話下さい。今後のとるべき方向性や留意点などを事業承継・M&Aに強い弁護士がアドバイスします。



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弁護士鈴木陽介書籍後継者

書籍:歯科医院の事業承継とM&A

学建書院,2016年