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56 サービス業の経営の失敗(14):ベンチャー企業の人材難

会社の倒産、破産に強い弁護士の鈴木陽介です。

ここでは、サービス業のベンチャー企業の経営失敗の実例をご説明します。経済産業省の公表資料「ベンチャー企業の経営危機データベース」に基づいており、弁護士の鈴木が適宜修正編集等しています。

なお以下が会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧です。ご活用いただければ幸いです。
・ 会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧


会社経営の失敗の概要


 サービス業のベンチャー企業の資金不足と人材難

先行投資に対する資金不足が発生したが、社歴の浅さから金融機関の信用を得られず資金調達を断念せざるを得なかった。資金不足のうえ、知名度がなかったため、人材の獲得も困難であった。また、規模が大きくなるにつれて利害関係者が増え、事業の方向性を維持していくことが難しくなるなど、いくつものカベに直面した。

 企業プロフィール

所在地 東京都
業種 サービス業
従業員 約50名
設立・創業 創業:平成10年
事業分野 医療・ヘルスケア
事業概要 個人向けヘルスケアサービスを展開。法人向けでは顧客企業の従業員に対して体面・電話・ネットによるヘルスケア等を行う。
社長の年齢 29歳以下
創業時の属性
(職業)
学生


会社経営の失敗の詳細


 結論

資金不足に陥りそうになった事、人材が集まらなかった事、規模が拡大すると、起業当時の方向から反れてしまいそうになった事の3点が事業運営上の大きな壁であった。

 設立から成功まで

在学中に国内企業による従業員をフォローするサービスがほとんどないことや、米国の業界の概要を知って起業。
平成10年国内初のヘルスケア関連サービスをネットで提供開始。個人を中心に利用が広がり、平成12年には法人向けサービスも開始。平成13年直営店舗を開設し、翌年ベンチャーキャピタルから資金を調達した。平成18年の法改正など、企業のヘルスケアへの関心の高まりを受け、法人顧客を増やして業容を拡大中にある。

 課題・ヒヤリとした経験

資金不足は、先行投資に対して見込んでいた売上が立たなかった事が最大の原因である。当初は信用がないため、銀行からの資金調達は行わなかった。人材募集は、知名度が無く、資金も無かったため、紹介会社は利用できず、人の紹介などに頼らざるを得なかったが、情報が少なすぎて適当な人材に出会えなかった。

 対処と結果

資金、人材ともに不足していたので、身の丈にあった経営を行った。急速な成長を目指すのではなく、理念に沿った事業以外に手を出さない堅実な経営を心掛けた。もともと資金負担の少ないビジネスモデルであり、一度仕組みを確立すれば、さほどの資金需要は発生しないようにした。また、本業を堅実に手掛け、業容を拡大していく中で、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルから資金が集まるようになり、メディアに取り上げられた事で知名度も向上し、結果として人材も集まるようになった。

 原因

(1) 特性

業歴が浅く、知名度のない会社の苦境
業歴が浅く、知名度のない会社に対しては資金も人も集まりにくい。斬新で最新かつ革新的な特許技術を持つなど、誰から見ても分かりやすく事業展開の見通しが立てやすいビジネスモデルの会社ではない限り、実績がないベンチャーが資金も人も集めるのは難しい。

(2) 要因

ITバブル崩壊とベンチャー企業への理解低下
事業拡大時期が、ITバブルの崩壊時期と重なり、当社を含めたベンチャー企業に対する視線が一時的に厳しくなった。また、ヘルスケアについて、創業時にはまだ世間に浸透しておらず、理解を得る事が難しかった。

 経営判断

事業拡大時期に、些細な雑務を含めてすべて社長が行わなければならなくなり、一時的に近視眼的な考え方や行動しか取れなくなってしまった。具体的には、資金不足時に銀行からの直接与信を獲得するのは困難と判断したが、各種支援制度の申請やベンチャーキャピタルへの出資要請を行うなど、早い時期に資金を調達できる手段を探っていれば、もっと早いスピードで成長することも可能だったかもしれない。

 背景

ITバブルの崩壊によってベンチャー企業に対する一般的な視線が厳しくなった。ヘルスケアは今でこそ相応の評価・認知を受けているが、起業当時はまだ社会的な意識も低く、一般化していなかった。

 得られた教訓

資金不足・人材難は、ベンチャー企業である以上、回避する事はできない。しかし、ないことを理由にせず、ないなりの行動はできる。当社が伸び悩んだ時に、儲かる可能性のある事業への誘惑もあったが、創業当時の事業理念を貫き通したことが現在の姿に繋がっていると思っている。
トラブルや失敗であっても、今振り返るとそれが成功の要因になっていると考えている。常に近視眼的な考え方に囚われず、創業当時の理念を忘れずに一貫性のある事業を展開しながら、積極的に今後も行動していくことが重要である。

 後日談

創業当初に抱いたビジネスモデルを貫き通したことと、無理をせず、身の丈にあった経営を行ってきたことが、現在に繋がっている。当社はまだ成長途上の会社であるが、これからもそれを忘れずに行動していきたい。

会社の経営不振、破産、倒産に悩んでいる経営者の方は、お電話下さい。会社の再生、倒産、破産に強い弁護士が、適切な対応をアドバイス・サポートします。


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書籍:歯科医院の事業承継とM&A

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