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旅行代理店が広告宣伝費で資金繰りに窮し倒産した実例です。経営不振に悩む経営者の方は、会社の倒産、破産に強い弁護士にご相談下さい。

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54 サービス業の経営の失敗(12):旅行代理店の倒産

会社の倒産、破産に強い弁護士の鈴木陽介です。

ここでは、旅行代理店が過大な広告宣伝費で倒産した実例をご説明します。経済産業省の公表資料「ベンチャー企業の経営危機データベース」に基づいており、弁護士の鈴木が適宜修正編集等しています。

なお以下が会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧です。ご活用いただければ幸いです。
・ 会社の経営失敗、倒産、破産の実例紹介の弁護士のコラム一覧


会社経営の失敗の概要


 過大な広告宣伝で資金繰りに窮し旅行代理店が倒産に

広告宣伝の成果によってヒット商品が出たことから、以後も多額の広告宣伝費を費やし売上拡大を狙ったが、大手業者との競合、需要一巡などもあって売上が停滞し、収益を圧迫。その対策として更に広告宣伝を増やすも、売上に結び付かず更なる収益悪化を招いた。途中方針転換を図ろうとした時期もあったが、売上の回復と拡大に囚われすぎ、拡大志向を止めることができなかった。費用対効果の検証を行わず必要以上の広告宣伝を行ったため、資金繰りが圧迫、民事再生開始申立てに至った。

 企業プロフィール

所在地 大阪府
業種 サービス業
従業員数 12名
設立・創業 平成7年3月
事業分野 一般旅行業
事業概要 主催旅行を扱い、一般顧客を対象に募集する他、他の旅行業者の代理店業務なども行う。当社企画のヒット商品を持ち、宿泊ゴルフプラン、日帰りバスツアーなども企画・実施する。
社長の年齢 30歳代
創業時の属性
(職業)
会社員


会社経営の失敗の詳細


 結論

無理な拡大政策から毎期多額の広告宣伝費を費やし収益を圧迫、大手業者等との競合、需要一巡などもあって売上が停滞。その対策として更に広告宣伝を増やすも、売上に結び付かず更に収益が悪化。前代表者は事業拡大に熱意を傾けていたものの、その拡大策が裏目に出て、資金繰りを圧迫していた。

 設立から成功までの経緯

平成7年3月に設立・創業、平成10年頃からダイビング、ゴルフ等の主催ツアーを扱うようになり、旅行を企画し、一般募集により旅行商品を取り扱う業者となった。平成12年頃に開始した企画商品が大きな伸びを見せ、売上高は急拡大を実現した。

 トラブル・失敗・課題に至る経緯

ヒット商品をさらに生むべく、毎期多額の広告宣伝を行うなど、収益は極少額を確保するのみに留まっていたところ、大手業者などとの競合、需要一巡などもあって平成15年には売上拡大は停滞した。その対策として、無理な拡大政策によって更に広告宣伝を増やしたが、売上に結び付かず、収益悪化を招くこととなった。前代表者は事業拡大に熱意を傾けていたが、やや経費観念に乏しく、拡大時期にも常に前受けする旅行代金をそのまま支払に充当するような資金運営にあった。売上が停滞すると、そのまま資金の逼迫に繋がることとなり、常に支払に追われた。

 対処と結果

金融借入や役員が個人的な借入を実施して資金調達を行ったほか、支払には手形発行を行うようになり、決済時期を繰延べるなどの資金政策を実施した。また、顧客からの前受けによる現金を得るため更に広告宣伝を行った。手形発行は一時しのぎにしかならず、毎月末の決済に更に追われる結果となった。また、広告宣伝も売上貢献とはならず、費用負担を増すだけとなった。平成15年9月末の決済見通しが立たなくなり、民事再生手続きの開始を申し立てた。

 原因

(1) 特性

経営者の拡大志向と計画性に欠けた費用支出
広告宣伝の増加によってヒット商品が出たため、その後も広告宣伝による拡大政策を採り続けたことで、広告費を過大に投入。流出し続ける資金への留意にやや欠けていた。

(2) 要因

効果の少ない販売費用の増加、売上停滞と拡大志向の継続
費用対効果の検証をせず広告宣伝を増やしたため販売費用は増加する一方、企画商品が売上に結び付かず、売上は下降推移を辿った。経営者の拡大志向が強く、更に挽回を目指して広告宣伝を増やすなど悪循環に陥った。

 経営判断の問題点

一度は方針転換もはかったが、売上の回復と拡大にばかり囚われ、支払に充当するべき資金まで使って広告宣伝による拡大策を取るなど、かなりの無理をしていた。費用と効果、価格と原価などの検証などよりも売上至上主義にもとづく経営で、拡大期から停滞、売上不振に陥った時期においては採るべき方法ではなかったといえる。

 背景

社会背景に失敗の要因は余りないとしているが、当時の状況では、テロや国際情勢の悪化などにより国外旅行が減り、同業大手業者などを含めて国内旅行の獲得合戦が激しくなっていた。

 得られた教訓

これ以上の費用増は避けて、既存顧客の継続利用が見込まれる過去のヒット商品を主体とする提案もあったが、その後も拡大策を続けた。既に損益などは悪化していたため可能性は高くないが、縮小均衡への転換により倒産回避もできたかもしれない。業種柄、広告費用など販売費用は必要であるが、効果・レスポンスなどの検証がなかった。また、倒産前の資金繰りでギリギリの資金調達となっていたため、役員個人での借入を行っていたが、当然その返済は行えておらず、民事再生計画が進展した現状の経営ではそれが金融与信を妨げる結果となり、現状から考えれば、個人での借入などは控えておくべきであった。

 後日談

再生計画は自主再建で立案され、平成16年の計画認可後、3年間を経過して裁判所管轄での同手続きも終結となった。決して余裕のある経営ではないが、ヒット商品への特化、次いで他企画も打ち出し、並行して経費の極限までの絞込みで順次の弁済に必要な年間1000万円の営業キャッシュフローを確保している。代表者も当時の個人負債がそのまま圧し掛かっているため、金融筋の提案もそれがネックで実現に至っておらず、本当に会社を再建するには、更に代表の交代も必要と聞かれ、支援者などが是非必要な状況にあると思われる。しかしながら、一時の危機的な状況は脱し、現状では資金的にも概ね平穏な繰り回しを維持しており、将来的には明るい兆しも見られる。

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